...革の財布が無雑作に引き出されて来たのです...
梅崎春生 「ボロ家の春秋」
...そして、彼はまるで冶金家(やきんか)が、坩堝(るつぼ)の金糞(かなくそ)の中から何かの金属でも探し出す様に、無雑作に、死人の歯を探し出して、別の小さな容器に入れていた...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...学生達が無雑作に帽子を脱いでそこらにおつぽり出してゐるのを見ると...
薄田泣菫 「茶話」
...いたづら書きのやうに懐紙に無雑作におしたためになり...
太宰治 「右大臣実朝」
...お母さまのようにあんなに軽く無雑作(むぞうさ)にスプウンをあやつる事が出来ず...
太宰治 「斜陽」
...この結論が別なものを余りに「無雑作」に同じと考えたかのように云うかも知れない...
戸坂潤 「範疇としての空間に就いて」
...」無雑作に懐へねじ込むのを見て...
豊島与志雄 「反抗」
...例の小鍬を無雑作に拾い上げ...
中里介山 「大菩薩峠」
...無雑作に他人の眼の前へ持って来て...
中里介山 「大菩薩峠」
...無雑作にガラッと戸をあけて...
中里介山 「大菩薩峠」
...右の小舟は無雑作に曳舟として扱われて...
中里介山 「大菩薩峠」
...倅は恨(うら)めしいほど無雑作(むぞうさ)にそれがいいでしょうと賛成してくれた...
夏目漱石 「永日小品」
...厄介きわまるのさ」「厄介きわまるなら廃(よ)せばいいじゃないか」と津田君は下宿人だけあって無雑作(むぞうさ)な事を言う...
夏目漱石 「琴のそら音」
...純一無雑に平和な生命を見出した...
夏目漱石 「それから」
...これを上げるから御使なさいと無雑作に三千代の前へ出した...
夏目漱石 「それから」
...端艇を繋(つな)いであった鉄の棒は無雑作(むぞうさ)に曲った...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...その時彼は反故(ほご)でも棄(す)てるように無雑作な態度を見せて...
夏目漱石 「道草」
...此(こ)の日壇上にのぼられた先生は杖がわりの粗末な竹竿を無雑作に壁にたてかけ椅子に腰かけて右手を耳のうしろへ...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
便利!手書き漢字入力検索