...無際限なただ一つの荒廃――その中に君だけが呼吸を続けている...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...象牙(ぞうげ)で無際限の変化――物象を真実に描写したものから...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...乎(ぼうつ)として目を開(あ)くと、無際限の世界が、唯モウ薄光(うすあかり)の射した淡紅色の世界で、凝(じつ)として居ると遙か/\向ふにポツチリと黒い点、千里の空に鷲が一羽、と思ふと、段々近いて来て、大きくなつて、世界を掩ひ隠す様な翼が、目の前に来てパツと消えた...
石川啄木 「菊池君」
...仰げば目も眩む程無際限に澄み切つて...
石川啄木 「赤痢」
...無際限にたよっている...
太宰治 「姥捨」
...無際限の暗黒一色の風景は...
太宰治 「八十八夜」
...この場合にも頭のいい人は人間の頭の力を買いかぶって天然の無際限な奥行きを忘却するのである...
寺田寅彦 「科学者とあたま」
...偶然のみ支配する宇宙ではエントロピーは無際限に増大して死滅への道をたどる...
寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
...――却って「無限」ではなくして「無際限」でなければならないのである...
戸坂潤 「空間概念の分析」
...吾々の表象する無際限な空間はそのまま有限であるとも考えられる...
戸坂潤 「物理的空間の成立まで」
...無際限で懇願的で要求深いものだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...パリー全市は無際限な空虚のうちに捜してしまって...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...しかし闇夜は無際限である...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それによって脳裏の意志と生涯の行動とを測って絶望するこの無際限は...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...主體は他者を完全に自己のうちに取入れ完全に克服することによつて自己を無際限に擴張するであらう...
波多野精一 「時と永遠」
...きりのごとく無際限なものの前をそぞろ歩いていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...無際限なるものに無限に信を置きます...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...どうして海はほんの今まであれ程無際限に見えてゐたことであらう? 水平線は今や直ぐ近くへ迫つてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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