...葉子は張りのあるその目を無邪気に(ほんとうにそれは罪を知らない十六七の乙女(おとめ)の目のように無邪気だった)大きく見開いて相手の視線をはにかみもせず迎えるばかりだった...
有島武郎 「或る女」
...無邪気に笑ったものもあるし...
岩野泡鳴 「猫八」
...僕も今日から探偵小説の愛読者になろう」予審判事は無邪気に兜(かぶと)を脱いだ...
江戸川乱歩 「鬼」
...無邪気に笑いかけながら...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...だから男を大勢集めて、無邪気に、賑(にぎ)やかに、馬鹿(ばか)ッ騒ぎをするのが好きなだけなんだ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...自分はただ男の友達と無邪気に騒ぐのが好きなんだ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...無邪気にぐっすり寝入っている...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...そしていかにも無邪気にそれをつとめたので...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...心から無邪気に(または表面だけ)信じているのである...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...東京市民が無邪気に江戸時代から伝承して来た氏神の祭礼や仏寺の開帳とは全く其の外形と精神とを異にしたものである...
永井荷風 「花火」
...こんなように無邪気になっているところを...
中里介山 「大菩薩峠」
...今しがた君の家(うち)へ這入った女は全体何者だと無邪気に尋ねる勇気も出なかった...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...お手紙着きまして?」と、無邪気に、自分の手紙におの字をつけて娘は訊いた...
林芙美子 「瀑布」
...無邪気に遣(や)つてのけた所は善いが...
正岡子規 「病牀六尺」
...無邪気にこの社会の機構が思いつかせる悪計に利用されているのです...
宮本百合子 「現実の道」
...無邪気に、無雑にただセッセと描いているだけ...
三好十郎 「ゴッホについて」
...無邪気に受答(うけこたえ)をしている相手を...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...たまたま無邪気にそれを食べた一人だけが...
柳田国男 「年中行事覚書」
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