...唯極めて無造作に凸凹を造(こしら)へた丈けで醜くもあり...
石川啄木 「葬列」
...姉は無造作に云っているけれども...
谷崎潤一郎 「細雪」
...無造作に楽々と乗りこなしているところは...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...無造作にトランクに詰めはじめた...
徳田秋声 「仮装人物」
...奉公人にしては贅沢な銘仙の袷(あわせ)、赤い鹿の子の帯を締めて洗ったばかりらしい多い髪を、無造作に束ね、脅(おび)えた小鳥のように逃げ腰で物を言う様子は、不思議な魅力を撒き散らします...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...足の甲(こう)は無造作に巻いてありますが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お前は指さきで無造作に僕の歯をくるりと撫でた...
原民喜 「心願の国」
...斯く無造作に書並べて教うれば訳けもなきようなれども...
福沢諭吉 「女大学評論」
...遠慮気もなく無造作に入ッて来た者は云わでと知れた昇...
二葉亭四迷 「浮雲」
...多く習ひて得たる様にはあらでただ無造作に書きなせるものから大字も小字も一様にして渋滞の処を見ず...
正岡子規 「墨汁一滴」
...コンヴアースやオツポジトを英語でしやべる位は無造作に出来るやうになつたが...
正岡子規 「墨汁一滴」
...いと無造作に蛇穴の字をサラギに宛てたものと見られる...
柳田國男 「和州地名談」
...衣裳なんぞには用はないという風に、極めて無造作に、裲襠と、帯と、振袖の三枚襲(がさね)を掴みのけて、棺の傍(かたわら)に押し込みますと、その下から現われましたのは素絹(しらきぬ)に蔽われました顔、合掌した手首を白木綿で縛られている清らかな二の腕、紅友禅(べにゆうぜん)の長襦袢(ながじゅばん)、緋鹿子絞(ひかのこしぼ)りの扱帯(しごき)、燃え立つような緋縮緬(ひぢりめん)の湯もじ、白足袋(たび)を穿かされた白い足首……そのようなものがこうした屍体解剖室の冷酷、残忍の表現そのものともいうべき器械、器具類の物々しい排列と相対照して、一種形容の出来ないムゴタラシサと、なまめかしさとを引きはえつつ、黒装束の腕に抱えられて、煌々(こうこう)たる電燈の下に引き出されて参ります...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...両膝を無造作に抱え直してゆすぶり始めた...
夢野久作 「復讐」
...――誰かと思ったら犬千代か」無造作に...
吉川英治 「新書太閤記」
...無造作に、「じゃあ、そう決めよう」沢庵は、武蔵の縄じりをつかんだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...余り無造作に手に這入(はい)ったので...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
...無造作に直線を二本引いた鼻や...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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