...葉子はこんな無自覚な状態にはとてもなっていられなかった...
有島武郎 「或る女」
...賤劣だとかやれ何とか云ふのは他に割のいゝ楽な仕事を持つた所謂教育のある婦人や無自覚な妻君達の云ふことだ...
伊藤野枝 「ウォーレン夫人とその娘」
...私は無自覚な無知な女の醜さを染々と見せつけられました...
伊藤野枝 「私信」
...そうして、私自身の中にもさうした、無自覚な、女の習性が沢山うごめいてゐるのを否定する勇気はどうしてもありませんでした...
伊藤野枝 「私信」
...元来が無自覚な享楽児たる民衆が自己催眠術もが手伝ってすっかり欺瞞されおわったのである...
海野十三 「放送された遺言」
...人は雨と煩瑣な感情にわずらわされながら無自覚な混迷のうちに年をとってゆくにすぎない...
谷譲次 「踊る地平線」
...その日の音楽から受けた無自覚な影響が...
寺田寅彦 「丸善と三越」
...無自覚な機械的な動きがあるのみで...
豊島与志雄 「夢の図」
...無自覚な、大多数の、日本の女性の恋愛は悉く、この種類に属するのであって、恋愛はそれ自身として独立していないのである...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...君たちの無自覚ないとなみに直面していると...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...小生が『無自覚な型』と呼ぶところのものでみちています...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...僕は無自覚なりし以上五箇月の所業を自己意識を得て後悉く明かに回想し得るのである...
村山槐多 「殺人行者」
...彼等の本当の魂は、彼等が足下に踏みにじっていた田舎者のソレよりも、無自覚な、意気地ないものであったか...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...……実は永遠に無自覚な人類生活の悲哀を「鼻の表現」と「馬鹿囃子」に依って象徴した最も哲学的な舞踊劇である...
夢野久作 「鼻の表現」
...「おれは貴様達のような無自覚なものじゃないぞ...
夢野久作 「鼻の表現」
...彼はうろたえた無自覚な足を三五兵衛の寝ていた室へおどり入れようとしたが...
吉川英治 「八寒道中」
...空想を遊戯する――という無自覚な方式に依って...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...無自覚な冒涜(ぼうとく)だが...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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