...葉子は陥穽(わな)にかかった無知な獣(けもの)を憫(あわれ)み笑うような微笑を口びるに浮かべながら...
有島武郎 「或る女」
...下層民か無知な人々だけで...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...さういふ無知な状態に在つたからして...
石川啄木 「大硯君足下」
...私はそれだからなおさら無知な人達が可愛想でならない...
伊藤野枝 「転機」
...無知なる田夫野人(でんぶやじん)の口からさえ故事来歴を講釈せしむる事が珍らしくないが...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...無知な老人(としより)の彳(たたず)んで見るところでは...
徳田秋声 「あらくれ」
...無知な庶民に向って知識を与えるためのポピュラリゼーション(通俗化)などとは別であったように...
戸坂潤 「科学論」
...この無知な区別からも説明できよう...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...唯物論は機械論・宿命的決定論・自然科学主義・其の他其の他だという無知な哲学史に立脚するわけで...
戸坂潤 「思想としての文学」
...彼等一部の人間達――主に社会機構に本質的に無知なブルジョア文士の一部だが――は併し...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...検察当局はこの一群の無知な常識を利用して...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...種々の空想的理想、正しい観念、無知な考え、実際的精神、偏見、経験、有産階級にたいする猜疑(さいぎ)的な憎悪、などをもっていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...コゼットは修道院で育てられたまったく無知な娘であったから...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...まるで根も葉もない……見も知らぬ他人を殺したなどという、とんでもない自首を……もっともあんな馬鹿げた陳述を信ずる人は一人もないではありましょうが……」老教授は、無知な百姓が、神棚(かみだな)に向って物を祈願する時のような口ぶりでこうたずねた...
平林初之輔 「予審調書」
...これらすべての鈍感な無知な...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...俗衆や無知な者どもが何でも勝手なことをなし得た国々...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...無知なる者も救われるとは...
柳宗悦 「工藝の道」
...何物にも満足するような無知なものではないぞ...
夢野久作 「鼻の表現」
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