...相手のからだは無抵抗にゆれるばかりで...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...が、いくらブラシで掻(か)き廻しても、それは静かに、無抵抗に、ただ柔かな弾力を以(もっ)て動くのみです...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...いやいやながら無抵抗に自由にされているのがどうも少し残酷なように思われだした...
寺田寅彦 「ねずみと猫」
...之によって又著作物そのものの内容に対する統制が最も無抵抗に円滑になることは云うまでもないことだ...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...また無抵抗に濃緑色の夢の中に墜ちて行つた...
富永太郎 「断片」
...崖に凭れたまま無抵抗になっている前で...
直木三十五 「南国太平記」
...相当に心地よげに無抵抗に...
中里介山 「大菩薩峠」
...無抵抗に台の上に押し上げられたのを見ると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...塒(ねぐら)へ歸れば、存分に可愛がつてやるぜ」頬から頬へ、そつと通ふ體温、お品は眼がクラクラする程憤りを感じましたが、無抵抗に、小判の上に寢かされて、どうすることも出來ません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...杯盤(はいばん)を片附けた、柳橋の清川の大廣間、二十幾基の大燭臺に八方から照されて、男女十幾人の一座は、文句も不平も、大きな歡喜の坩堝(るつぼ)の中に鎔(とか)し込んで、唯もう、他愛もなく、無抵抗に、無自覺に歌と酒と遊びとに、この半宵を過せばよかつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...杯盤(はいばん)を片付けた、柳橋の清川の大広間、二十幾基の大燭台(しょくだい)に八方から照されて、男女十幾人の一座は、文句も不平も、大きな歓喜の坩堝(るつぼ)の中に鎔(とか)し込んで、ただもう、他愛もなく、無抵抗に、無自覚に歌と酒と遊びとに、この半宵(はんしょう)を過せばよかったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...一度赤い風が吹くと、防火設備はあつたにしても、マツチ箱を竝べたやうな江戸の町家――無分別にも建混み過ぎた木造家屋は、殆んど無抵抗に、無防禦に、際限もなく燃えて行つたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...無抵抗に殺されたことを物語つてをります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...胴体や手足をだらりとぶら下げて無抵抗に噛(か)まれている...
平林初之輔 「動物園の一夜」
...ニタは無抵抗に小さな指を置いた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「道化玉座」
...無抵抗に降参するような女じゃないし...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...無抵抗に支払うものとしてだけ扱われて来たのである...
宮本百合子 「木の芽だち」
...甲斐はやはり無抵抗に動かなかった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
便利!手書き漢字入力検索