...無心に睡っている大隅学士の身体が横たわっていたのである...
海野十三 「地球盗難」
...疲れてまったくの無心になって空腹を感じて家路を急ぐのである...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...刹那(せつな)を信じることできる?」Kは少女のように無心に笑って...
太宰治 「秋風記」
...「ねむれた?」無心にたずねるKの眼は...
太宰治 「秋風記」
...ただ無心に笑っている...
太宰治 「新釈諸国噺」
...無心に事実を簡潔に述べている態度である...
太宰治 「新樹の言葉」
...熊の子のように無心に見えて...
太宰治 「二十世紀旗手」
...自分は父の机の前に足と投出したままで無心に華車(きゃしゃ)な浴衣の後姿から白い衿頸(えりくび)を見上げた時...
寺田寅彦 「やもり物語」
...その男が店のものを金の無心に寄越(よこ)しましたわ...
徳田秋声 「仮装人物」
...すいすいと伸び出してる草の芽を無心に掴み取りながら...
豊島与志雄 「父母に対する私情」
...細鱗を閃(ひらめ)かせつつ無心に游優嬉戯しているのである...
中島敦 「環礁」
...「富士絹ね」と無心にぽつりと言った...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...いままで無心に草を食べてゐた牛がふいとそれを止めて...
堀辰雄 「牧歌」
...……私はふとそれを思いつくと、どこからか自分でその玉網を捜し出してきて、縁先きにしゃがんで、いかにも無心に、それでもって小さな魚を追いまわしていた何処かで半鐘が、間を隔(お)いては、鳴っていた...
堀辰雄 「幼年時代」
...擦れ違ふ女の姿形を無心には見過せなくて...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...今まで無心に繰し((ママ))て居た祈祷も今は明かに自分の慰めと成り...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...何らの美の理論なくして無心に作られたもの...
柳宗悦 「民藝四十年」
...そして、宇乃自身まったく無意識ではあったろうが、甲斐の腿を大胆に、あるいは無心に、圧迫したその部分の、あたたかい、弾力のあるまるみは、四十二歳になる甲斐をたじろがせるのに充分であった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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