...この問に対しても無心に頷いたが...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...雲の無心にして岫を出づるが如き也...
高山樗牛 「美的生活を論ず」
...お寺の林の中に永いこと童の如く無心に佇みなされて郭公の初声を今か今かとお待ちになつてゐたり等した事もございました...
太宰治 「右大臣実朝」
...ネロは無心に波とたわむれていた...
太宰治 「古典風」
...Yさんの小さい子供たちの無心に遊んでいるさまをみるのが...
田中英光 「野狐」
...此處で畫架を立てゝ二時間餘りを無心に過した...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...あわれ無心に花を吸う小蝶に忍び寄る...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...それとも知らぬ小僧は無我無心に芋を食っている...
夏目漱石 「坑夫」
...うっかり無心にも来られねえ」ガラッ八は面目次第もない頸筋(くびすじ)をボリボリ掻くのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...無心にハンドルをあやつっている...
久生十蘭 「あなたも私も」
...無心にその声に耳を傾けるのみであッた...
久生十蘭 「湖畔」
...の木立はものうげに、無心に、まるで当所(あてど)なきさすらひ人のやうに、高く雲間に聳えたち、まぶしい陽の光りが絵のやうな青葉のかたまりを赫つと炎え立たせると、その下蔭の葉面(はづら)には闇夜のやうな暗影(かげ)が落ちて、ただ強い風のまにまに黄金いろの斑紋がぱらぱらと撒りかかる...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...樽野は折角快く無心になつてゐたのを醒されたかのやうに苛々しく自分こそ馬鹿な呟きを続けた...
牧野信一 「鶴がゐた家」
...殆んど無心になったように...
三好十郎 「好日」
...尚も無心に素朴に暮してゐる...
柳宗悦 「雑器の美」
...令嬢たちはまだ無心に話しつづけた...
横光利一 「旅愁」
...子供たちが無心に遊んでゐる...
吉川英治 「折々の記」
...今の無心に出た十八公麿の声は...
吉川英治 「親鸞」
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