...疲れてまったくの無心になって空腹を感じて家路を急ぐのである...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...刹那(せつな)を信じることできる?」Kは少女のように無心に笑って...
太宰治 「秋風記」
...ただ無心に笑っている...
太宰治 「新釈諸国噺」
...無心に軽く天の潮路のままに進むのだ...
太宰治 「パンドラの匣」
...乙彦が無心に爪で千切(ちぎ)りとつた痕(あと)まで...
太宰治 「火の鳥」
...やがてその、熱いところを我慢して飲み、かねて習い覚えて置いた伝法(でんぽう)の語彙(ごい)を、廻らぬ舌に鞭打(むちう)って余すところなく展開し、何を言っていやがるんでえ、と言い終った時に、おでんやの姉さんが明るい笑顔で、兄さん東北でしょう、と無心に言った...
太宰治 「服装に就いて」
...無心に答えるのである...
太宰治 「ろまん燈籠」
...安重根は無心に、刻一刻近づいて来る汽車の音に、聞き入っている...
林不忘 「安重根」
...無心に戯(たわむ)れ遊ぶ生徒らにみとれていた...
田山花袋 「田舎教師」
...それを無心に眺めながら言った...
豊島与志雄 「化生のもの」
...無心にひくひくと動いた...
豊島与志雄 「裸木」
...父から無心に習い覚えた伝来の三曲...
中里介山 「大菩薩峠」
...その波がしらに向って無心に演説を試みはじめたのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...うつかり無心にも來られねえ」ガラツ八は面目次第もない頸筋をポリポリ掻くのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...終戦の日にあげた意味深長な日の丸の旗が無心にヒラヒラひるがえっている...
久生十蘭 「だいこん」
...相手が無心に湯に浸(つ)かっているところを...
牧逸馬 「浴槽の花嫁」
...無我――から無心にまで澄んでゆくように...
吉川英治 「親鸞」
...無心に能を見物している藩士の家族のうちには...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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