...系図によれば、むかしはここの殿さま大村出雲守のあるじすじにあたる家柄だったとかで、はやくに父君をうしなわれ、いまでは不幸にして眼病をわずらって両眼をめしいられた母君とふたり、まことにわびしい日をくらしてはいられますが、殿さまからは、生涯無役、客分として大村藩のつづくかぎり、禄高四千八百石にあておこなうものなりという、お墨付をもらっていられる、まことに、気楽な身分のかただったのです...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...島津両三人於二捕来一は為二御引物一其所之物成永代無役に可レ被レ下旨御掟候事一...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...父の八郎太が、裁許掛見習として、斉彬の近くへ出るのと、斉彬の若者好きとからで、小太郎は無役の、御目見得以下ではあったが、時々、斉彬に、拝謁することができた...
直木三十五 「南国太平記」
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直木三十五 「南国太平記」
...申し上げましたる如く、当蔵屋敷詰、無役、百城月丸と申しまする」と、挨拶した...
直木三十五 「南国太平記」
...最早や無役の老旗本摂津守の上席に坐るのも遠くはあるまいと思われましたが――その年三月...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...若くて無役で無類の放埒(ほうらつ)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...若くて無役で無類の放埒...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...無役(むやく)で裕福で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...板屋八十郎といふ無役ながら裕福の聞えある家柄の當主...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...三千石の大身ですが、無役の呑氣さで、渡り中間の半次が長い間住み付いて、庭も掃(は)けば、使ひ走りもし、主人の供もすれば、若樣の道樂指南番もやると言つた、申し分なく融通(ゆうづう)のきく男です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「親は、默つてそれを見て居たのか」「一人息子で、甘やかし放題、昔は堺御奉行(さかひごぶぎやう)の與力で、隨分鳴らした大野田仁左衞門ですが、此節は無役で、裕福に暮らして居ますよ」「それだけわかつて居れば、大したものだ、もう一と息押して見るが宜い、大野田の家を潰しても仕樣があるまいが、調べるところまでは調べて置きたい」錢形平次の本能が、このまゝでは濟みさうもありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...罪に問われて以来ずっと無役なので...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...小普請組(こぶしんぐみ)のうち十年無役(むやく)の者が召放(めしはな)しになった...
山本周五郎 「さぶ」
...現在では無役のまま暢気(のんき)に暮している...
山本周五郎 「契りきぬ」
...――帯刀どのは無役である...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「其方(そのほう)は塙江漢(はなわこうかん)とやらいう老いぼれの無役者(むやくもの)に加担いたして...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...江戸の無役者(むやくもの)に...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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