...系図によれば、むかしはここの殿さま大村出雲守のあるじすじにあたる家柄だったとかで、はやくに父君をうしなわれ、いまでは不幸にして眼病をわずらって両眼をめしいられた母君とふたり、まことにわびしい日をくらしてはいられますが、殿さまからは、生涯無役、客分として大村藩のつづくかぎり、禄高四千八百石にあておこなうものなりという、お墨付をもらっていられる、まことに、気楽な身分のかただったのです...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...島津両三人於二捕来一は為二御引物一其所之物成永代無役に可レ被レ下旨御掟候事一...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...若くて無役で無類の放埒(ほうらつ)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...若くて無役で無類の放埒...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...――二十七の無役だ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...長いあいだ無役で貧乏に暮しております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...無役だが、三千五百石の大身でケチな大名ほどに暮して居る、其處の跡取で、金之進樣といふ二十二になる若殿が、昨夜お屋敷裏門外で、自分の刀で刺殺され、その上死骸を下水に叩込まれてゐるのを、今朝になつて町内の者が見付けて騷ぎ出し、あわてて死骸は取入れたが、見た者が二三十人もあるから、人の口に戸は立てられねえ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...當主は無役ではあるが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...かういふわけで――」「――」「四谷伊賀町に、三千石の大身で伊賀井大三郎樣といふ旗本がありますがね、無役で裕福で、若くて好い男で、奧方が見つともなくて、道樂強いと來てるからたまりませんや」「まるでお前とあべこべだ」「その殿樣が近頃和蘭(おらんだ)舶來(はくらい)の素晴らしい遠眼鏡を手に入れ、二階の縁側から、あちらこちらと眺めるのを樂しみにしてゐた――といふのがことの起りで」「――」平次も默つてしまひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「親は、默つてそれを見て居たのか」「一人息子で、甘やかし放題、昔は堺御奉行(さかひごぶぎやう)の與力で、隨分鳴らした大野田仁左衞門ですが、此節は無役で、裕福に暮らして居ますよ」「それだけわかつて居れば、大したものだ、もう一と息押して見るが宜い、大野田の家を潰しても仕樣があるまいが、調べるところまでは調べて置きたい」錢形平次の本能が、このまゝでは濟みさうもありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今度の事件にまるッきり無役だったとはいわせませんよ」それを聞くと...
久生十蘭 「魔都」
...無役のまま今日に及んでいる...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...小普請組(こぶしんぐみ)のうち十年無役(むやく)の者が召放(めしはな)しになった...
山本周五郎 「さぶ」
...実際には無役だったので...
山本周五郎 「新潮記」
...無役のまま藩主綱宗の側近に仕えていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...――帯刀どのは無役である...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「其方(そのほう)は塙江漢(はなわこうかん)とやらいう老いぼれの無役者(むやくもの)に加担いたして...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...江戸の無役者(むやくもの)に...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??