...天下の御帳に載らざる無役の地だつたと伝へられてゐるのは...
太宰治 「津軽」
...系図によれば、むかしはここの殿さま大村出雲守のあるじすじにあたる家柄だったとかで、はやくに父君をうしなわれ、いまでは不幸にして眼病をわずらって両眼をめしいられた母君とふたり、まことにわびしい日をくらしてはいられますが、殿さまからは、生涯無役、客分として大村藩のつづくかぎり、禄高四千八百石にあておこなうものなりという、お墨付をもらっていられる、まことに、気楽な身分のかただったのです...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...彼は官邸の広場をめぐらしてる無役な鉄柵(てつさく)を飛び越した...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...父の八郎太が、裁許掛見習として、斉彬の近くへ出るのと、斉彬の若者好きとからで、小太郎は無役の、御目見得以下ではあったが、時々、斉彬に、拝謁することができた...
直木三十五 「南国太平記」
...「仙波小太郎」「役は?」「無役」「無役?」往来の人々が...
直木三十五 「南国太平記」
...若くて無役で無類の放埒(ほうらつ)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...若くて無役で無類の放埒...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...無役乍ら鳴らした武士ですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...無役ながら鳴らした武士ですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――二十七の無役だ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...當主は無役ではあるが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...かういふわけで――」「――」「四谷伊賀町に、三千石の大身で伊賀井大三郎樣といふ旗本がありますがね、無役で裕福で、若くて好い男で、奧方が見つともなくて、道樂強いと來てるからたまりませんや」「まるでお前とあべこべだ」「その殿樣が近頃和蘭(おらんだ)舶來(はくらい)の素晴らしい遠眼鏡を手に入れ、二階の縁側から、あちらこちらと眺めるのを樂しみにしてゐた――といふのがことの起りで」「――」平次も默つてしまひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...三千石の大身ですが、無役の呑氣さで、渡り中間の半次が長い間住み付いて、庭も掃(は)けば、使ひ走りもし、主人の供もすれば、若樣の道樂指南番もやると言つた、申し分なく融通(ゆうづう)のきく男です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...無役でお金があつて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この物語の当時は無役であった...
山本周五郎 「思い違い物語」
...実際には無役だったので...
山本周五郎 「新潮記」
...無役のまま藩主綱宗の側近に仕えていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...――帯刀どのは無役である...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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