...本当にまだ無力な幼稚な自分の名があまりに世間的に知られる事が恐いのと同時に...
伊藤野枝 「成長が生んだ私の恋愛破綻」
...いつしよに伸べてゐた手をふと見て、自分の手が恥づかしかつた、何と無力な、やはらかな、あはれな手だらう...
種田山頭火 「行乞記」
...それ程ファシズムに於てはそのイデオロギーがイデオロギー的に無力なのである...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...比較的無力な資本家を倒して比較的有力な資本家を利せねばならぬ...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...かかる無力な圧伏された性質を持っていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...科学はそして大抵の学者もまた案外無力なものである...
中谷宇吉郎 「千里眼その他」
...三十幾人の無力な護衛たちは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...結局はやはり無力な...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...人間の思考なんかこの運動の前には無力なのだ...
北條民雄 「道化芝居」
...いかに無力なものであるかに...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...さながら小説家というものの本質は無力なるもので「どんな場合にでも呑気でいかん」ものなのだが...
宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
...何事も無力な母のそばにおりましては気の毒でございます...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...今日のような無力な時代には...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...意力によって計画された「完全な犯罪」の機構(しかけ)の中からフラフラと洩れ出した無力な人形ではなかったろうか……何時...
夢野久作 「殺人迷路」
...――宮は無力な落人(おちゅうど)にすぎない...
吉川英治 「私本太平記」
...どうして、この無力な、そして自分たちを、かくまで信じきっている女性(にょしょう)を、このまま振り捨てられよう...
吉川英治 「親鸞」
...無力な常磐母子(おやこ)が...
吉川英治 「源頼朝」
...数百人のスペイン兵と十数門の大砲とに一つの王国の蹂躙を許すほど無力なものでも幼稚なものでもなかったのである...
和辻哲郎 「鎖国」
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