...私は孤月と云ふ名をきくとその玄関の格子を一尺ばかり開けて無作法にその柱と格子に曲げた両腕を突つかつて其処に体の重味をもたして気味の悪い眼付きで私を見てゐる人をぢつと見返しながら急に反感がこみ上げて来ました...
伊藤野枝 「妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録)」
...そしてその所天(をつと)の枕もとへ無作法にばたりと坐わつて...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...たまらない匂がする」刑事の一人が無作法に怒鳴った...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...そう言ってしまうや否や彼は自分の無作法に気づいた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...』無作法に熱してゆく議論を打ち切ろうと思って...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...これが無作法にもなりませんし...
中里介山 「大菩薩峠」
...それに近づいてコツコツと叩いてみるような無作法には及びませんでした...
中里介山 「大菩薩峠」
...何を害して居るのだと詰問すると看護婦と變ぢやないかと無作法にもいふのである...
長塚節 「開業醫」
...其所(そこ)に無作法に横(よこた)はつてゐる様に思はれて来(き)た...
夏目漱石 「それから」
...ありのままのことをお話して頂きたいのです」わたしが無作法にも...
長谷川時雨 「一世お鯉」
...娘は表面上は好奇心から無作法に尋ねられるのが厭(いや)だからという理由で...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「マリー・ロジェエの怪事件」
...そして彼女は私がいくら無作法に見つめても...
堀辰雄 「燃ゆる頬」
...しかもこのほうがいい眺めかたなのですよ――そういう人たちの顔を無作法に...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...我慢の出来ない程の偏頭痛がすると云つてひどく無作法に暇乞をしたのである...
アルベエル・サマン Albert Samain 森林太郎訳 「クサンチス」
...この流儀は当然無作法にも見え...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...無作法に亙(わた)るような個所が出来るかも知れませんが...
夢野久作 「少女地獄」
...それが私達の室に坐を占めて無作法に談笑し間食をする...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...私は何とも知れぬ氣味惡さを感じながら無作法に自分の前に突つ立つてまじ/\と顏を覗き込んでゐる痩せた...
若山牧水 「熊野奈智山」
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