...烟を望みて黎元を撫でたまひき...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...その間、到る處、よしず張りの茶店を構へ、茶烟輕くる處、小杜の禪榻ならで、赤毛布しける腰掛臺、まばゆきばかりに立ちならび、客を呼ぶ少婦の聲さへなまめきたり...
大町桂月 「小金井の櫻」
...冬(ふゆ)に暖炉(だんろ)が烟(けぶ)って炭気(たんき)に罩(こ)められたものと見(み)える...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...……(草津雑詠)もめやうたへや湯けむり湯けむりふいてあふれて湯烟の青さ澄む揉湯――時間湯...
種田山頭火 「旅日記」
...歸途雨歇み淡烟糢糊...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...目に入るものは蒼茫(そうぼう)たる暮烟(ぼえん)につつまれて判然としていなかったのも...
永井荷風 「元八まん」
...白くいぶる榾(ほた)の余烟(よえん)とを透して見定めると...
中里介山 「大菩薩峠」
...私はやはり元の床几(しょうぎ)に腰をおろして烟草(タバコ)を吹かしていた...
夏目漱石 「こころ」
...「僕(ぼく)は今度(こんど)の縁談(えんだん)を断(ことわ)らうと思(おも)ふ」代助の巻烟草(まきたばこ)を持(も)つた手が少(すこ)し顫(ふる)へた...
夏目漱石 「それから」
...「煤烟」の主人公に至っては...
夏目漱石 「それから」
...仄白(ほのしろ)い烟(けむ)りが大氣(たいき)の中(なか)に動(うご)いてゐる樣(やう)に見(み)える...
夏目漱石 「門」
...身代烟(けふ)りと成りて消え残る我等何とせん...
樋口一葉 「大つごもり」
...蚊遣(かやり)の烟にむせばぬまでも思ひにもえて身の熱げなり...
樋口一葉 「にごりえ」
...源さんも可愛さうだわなと言ひながらお力を見れば烟管掃除に余念のなきか俯向(うつむき)たるまま物いはず...
樋口一葉 「にごりえ」
...火を烟(けむ)らせていた...
室生犀星 「後の日の童子」
...戸の破れた所からは烟が出て...
森鴎外 「大塩平八郎」
...間もなく甘みのある烟の白い一団が...
マクシム・ゴルキイ Maksim Gorkii 森林太郎訳 「センツアマニ」
...たぶん溜池(ためいけ)の火の烟でそれが日比谷(ひびや)の烟と一つになって見えたのであろう...
和辻哲郎 「地異印象記」
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