...とても熊野川または北山川――ことに後者の一部を成してゐる瀞(とろ)八丁のやうなあゝした幽深な感じはそこから受けることが出来ない...
田山録弥 「あちこちの渓谷」
...私は降りしきる雨を衝いて、時には渓流の絶壁高く白く咲いてゐる花を仰いだり、時には大きく暗い瀑(たき)の畔に明るくあらはれてゐる花を眺めたり、山から山へと越えて行く山畠に添つた路に蛙の鳴声をなつかしんだりして、熊野から瀞八町、玉置山(たまきやま)、湯峰(ゆのみね)の温泉へと歩いて行つたことを思ひ出した...
田山録弥 「春」
...瀞(とろ)八町の谷...
田山録弥 「春雨にぬれた旅」
...熊野川へそゝぐきたやま川といふ川ののぼりに瀞(どろ)八丁といふをみむと竹筒といふところより山を越えて竹筒(たけと)のや樛の木山の谷深み瀬の音はすれど目にもみられず十三日...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...長瀞(ながとろ)...
額田六福 「解説 趣味を通じての先生」
...どれとは瀞(とろ)と同じく靜まりかへる義であるとは...
濱田耕作 「沖繩の旅」
...ところどころに瀞(とろ)をつくりながら暗い洞門の中へのろのろと流れ込んでいる...
久生十蘭 「地底獣国」
...相継ぐ滝と瀞(とろ)に岩魚が濃い...
正木不如丘 「釣十二ヶ月」
...大瀞の真中の離れ岩の上に...
正木不如丘 「釣十二ヶ月」
...まず昭和五年長瀞に赴任し...
村山俊太郎 「国分一太郎君の仕事」
...ツルは熊野の北山川の瀞八丁(どろはっちょう)のトロと同じく...
柳田國男 「地名の研究」
...一羽が瀞(とろ)の水に落ちて...
吉川英治 「神州天馬侠」
...らくらくとこせる瀞(とろ)がある...
吉川英治 「神州天馬侠」
...渓流の瀞(とろ)に朽(く)ちたおれている腐木(ふぼく)の上を...
吉川英治 「神州天馬侠」
...と見えたと思うとドブンと瀞(とろ)の水面に飛沫(しぶき)が上がり...
吉川英治 「新・水滸伝」
...水もまっ蒼な日陰の瀞(とろ)になっている...
吉川英治 「宮本武蔵」
...瀞(とろ)八丁につて新宮に出て...
若山牧水 「熊野奈智山」
...尤もこの時の旅行は、中学時代の級友奥村輝光君の勧誘に従つたのであつて、主要な目標は、吉野から大峯山に登り、十津川を下つて、瀞八丁へ寄り、新宮、那智、潮岬などを見物するといふにあつた...
和辻哲郎 「西の京の思ひ出」
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