...葉子はそこにいかにも伊達(だて)で寛濶(かんかつ)な心を見せているようだったが...
有島武郎 「或る女」
...倉地は力のこもった目で葉子をじっと見てちょっとうなずくとあとをも見ないでどんどんと旅館のほうに濶歩(かっぽ)して行った...
有島武郎 「或る女」
...迂濶にもそのときの私はまだ山中の名声を知らず...
伊丹万作 「人間山中貞雄」
...如何にも之までの自然科学者らしい迂濶さだが...
戸坂潤 「日本の頭脳調べ」
...やがて自分の迂濶さに面喰った...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...――これはおれも迂濶だった...
豊島与志雄 「花ふぶき」
...迂濶(うかつ)に...
直木三十五 「南国太平記」
...振り返ると小さな山々を見越して眼界は漸く濶々として來たが霞が一面に棚引いて居るので明瞭に分らない...
長塚節 「才丸行き」
...余はなるほどと始めて自分の迂濶(うかつ)を愧(は)ずると共に...
夏目漱石 「思い出す事など」
...私の方はそれで宜しい」園田氏も漸く日頃の寛濶な自分に還りました...
野村胡堂 「女記者の役割」
...町人にしては濶達ないい気性の男だッたが...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...その前にこれも震禍を避けて来阪中の伯山が関東震災記を例の濶達な調子で読んだ...
正岡容 「わが寄席青春録」
...ただ林の濶(ひろ)い木の葉(は)がぱちぱち鳴っている〔以下原稿数枚?なし〕入れを右手でつかんで立っていました...
宮沢賢治 「学者アラムハラドの見た着物」
...濶然と空を透かしてゐた...
三好達治 「測量船」
...もう少し寛濶(かんかつ)な気持になって...
山本周五郎 「菊千代抄」
...「――これは迂濶(うかつ)にはでかけられないぞ」彼がそう思ったことに無理はないだろう...
山本周五郎 「百足ちがい」
...伯林(ベルリン)停車場(ぢやう)(晶子)ああ重苦しく、赤黒(ぐろ)く、高く、濶(ひろ)く、奥深い穹窿(きゆうりゆう)の、神秘な人工の威圧と、沸沸(ふつふつ)と迸(ほとばし)る銀白(ぱく)の蒸気と、濛濛(もうもう)と渦巻く煤煙(ばいえん)と、爆(は)ぜる火と、哮(ほ)える鉄と、人間の動悸(どうき)、汗の香(か)、および靴音(くつおと)とに、絶えず窒息(いきづま)り、絶えず戦慄する伯林(ベルリン)の厳(おごそ)かなる大停車場(ぢやう)...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...東京市に広濶な防火公園を設け...
和辻哲郎 「地異印象記」
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