...寛濶(かんかつ)に声をかけた...
芥川龍之介 「煙管」
...急ぎ足に濶歩(かっぽ)して改札口の所に近づいたが...
有島武郎 「或る女」
...これは迂濶(うかつ)に部屋を出られないぞと思った...
海野十三 「蠅男」
...足利とようやく広濶の地にでて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...日來(ひごろ)快濶にして物に鬱する事などの夢にもなかりし時頼の氣風何時(いつ)しか變りて...
高山樗牛 「瀧口入道」
...部屋の隅から隅へと濶歩する...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「天才」
...濶葉樹の天然林には...
豊島与志雄 「高千穂に思う」
...懷かしげに久濶を叙した...
中島敦 「山月記」
...自分の迂濶な詞がその胸に與へた或る痛みを想像した時...
南部修太郎 「霧の夜に」
...あの夜、少女がなぜ名を名乗らなかったか、あす自殺するつもりだというと、なぜ、急にあの細い指が絡みついて来たのか、迂濶にも、今になって、竜太郎は初めてその意味を了解した...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...お長柄組(ながえぐみ)にこの人ありと知られていた濶達(かったつ)な大沼喜三郎は...
本庄陸男 「石狩川」
...砂漠と大洋を寛濶の障壁として持つところの...
槇村浩 「華厳経と法華経」
...さも惶だしげに、けれどもまたさも所在なげに、彼は左右を顧み、わづかに場所を移り、さかしらで浮浪者染みた、その迂濶な、圓頂緇衣の法體を暫らくそこに憩はせてゐるのである...
三好達治 「霾」
...ヘヘヘ……貴方にも似合わない迂濶(うかつ)な新聞の読み方をしたもんですなあ」「……………」「ねえ...
夢野久作 「オンチ」
...伯林(ベルリン)停車場(ぢやう)(晶子)ああ重苦しく、赤黒(ぐろ)く、高く、濶(ひろ)く、奥深い穹窿(きゆうりゆう)の、神秘な人工の威圧と、沸沸(ふつふつ)と迸(ほとばし)る銀白(ぱく)の蒸気と、濛濛(もうもう)と渦巻く煤煙(ばいえん)と、爆(は)ぜる火と、哮(ほ)える鉄と、人間の動悸(どうき)、汗の香(か)、および靴音(くつおと)とに、絶えず窒息(いきづま)り、絶えず戦慄する伯林(ベルリン)の厳(おごそ)かなる大停車場(ぢやう)...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...迂濶(うかつ)すな...
吉川英治 「三国志」
...いつ江戸表へお帰りでござった」久濶(きゅうかつ)の情を誇張して...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...非常に広濶(こうかつ)な...
和辻哲郎 「享楽人」
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