...着物を雨で濡らす心配があるか...
芥川龍之介 「葱」
...蕭々(しと/\)と廂(ひさし)を濡らす音が...
石川啄木 「天鵞絨」
...雨に濡らすまいと思ったか...
泉鏡花 「縁結び」
...幾らか底を濡らすにちがいないとは...
谷譲次 「踊る地平線」
...これは役者が謡いをうたうために始終唇を唾液で濡らす故でもあろうが...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...一度に袖を濡らすのでした...
谷崎潤一郎 「三人法師」
...義憤の涙に瞼(まぶた)を濡らすのだったが...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...ちゃんと下剃(したぞり)を濡らすためのお湯まで汲みそろえてある...
中里介山 「大菩薩峠」
...春の星を落して夜半(よは)のかざしかな春の夜の雲に濡らすや洗ひ髪春や今宵(こよひ)歌つかまつる御姿海棠(かいだう)の精が出てくる月夜かなうた折々月下の春ををちこちす思ひ切つて更け行く春の独りかななどと...
夏目漱石 「草枕」
...靴をはいて着物を着ている上に懐中電灯を濡らすまいと思うと大骨折(ほねおり)です...
野村胡堂 「水中の宮殿」
...二十五の女の侘しくも物ほしげなる片言なり蒼い海風も黄いろなる黍畑の風も黒い土の吐息も二十五の女心を濡らすかな...
林芙美子 「新版 放浪記」
...ビッショリと背すじを濡らす悪汗(わるあせ)をぬぐいながら...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...筏では装備を濡らすおそれがある...
久生十蘭 「ノア」
...無造作に股間(こかん)を濡らすと...
火野葦平 「糞尿譚」
...石全体を濡らすことは勿論である...
室生犀星 「庭をつくる人」
...涙は子供の頬をぐしゃぐしゃに濡らすが...
山本周五郎 「季節のない街」
...血がなま温かく肌を濡らすのが感じられた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...いつか上げ潮に変ったと見えて小波の飛沫が我等の爪先を濡らす様になった...
若山牧水 「青年僧と叡山の老爺」
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