...敗色いよいよ濃厚になり...
太宰治 「惜別」
...神子クリストもその人間性は漸次稀薄にせられて神性を濃厚にせられ...
田辺元 「メメント モリ」
...ここの場面がいちばん昔の東ロンドンの雰囲気(ふんいき)を濃厚に現わしているように思われる...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...その印象が濃厚になり...
寺田寅彦 「思い出草」
...この精神には外来の宗教哲学の消極的保守的な色彩がだんだん濃厚に浸潤して来た...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...少なくとも今日の日本で思想動員と呼ばれていい事態が濃厚に急迫しつつあることを...
戸坂潤 「思想動員論」
...今日でも事実上濃厚に残っている日本の封建的基礎条件から...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...その不安な空気を更に濃厚にした...
豊島与志雄 「電車停留場」
...別種のファッショ的傾向が益々濃厚になったのではないか...
豊島与志雄 「文学の曇天」
...不安と不平が前よりも濃厚に充滿した...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...まだ濃厚に残っていた差別待遇を諷(ふう)した作を残している...
長谷川時雨 「田沢稲船」
...メンデルスゾーンの憂鬱な旋律が何うのとかと酒から音楽へ移つて他人も無げな通を振りまきながら次第に濃厚に女に戯れはじめるのであつたが...
牧野信一 「街角」
...ますます濃厚に息苦しくせられて...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...濃厚に飾りたてた恋愛詩や...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...御親心というものがあまりに濃厚に見えて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...濃厚に化粧をした顔のように素顔も見えてほの赤くにおわしいのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...所謂浅草気分は数層倍濃厚になった...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...漸くイタリアの風景濃厚になって来る...
横光利一 「欧洲紀行」
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