...濃厚にもしたことであった...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...一瞬間さうして動かずに自分の心が外へ移るともう消えてしまつてゐるそのあとに穴が明いて空氣が目に見えて濃厚に動いてゐるまるで温室の中を歩いてゐるやうだ...
千家元麿 「自分は見た」
...この精神には外来の宗教哲学の消極的保守的な色彩がだんだん濃厚に浸潤して来た...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...自分の出席した四つのコロキウムのそれぞれの雰囲気は学科の性質から来る特徴もあるにはあるであろうが結局はその集会を統率する中心人物の人柄そのものによって濃厚に色づけられているのであった...
寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
...六十一 更に夜半以後の有り様は又凄絶だ、天に広がる原元子は、濃厚に、濃厚に成り行きて、地上の明るさは、今までの天然には類をも見ぬ異様なる色を呈した...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
...お仙に関わる疑いが濃厚になると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...たまらない不気味な空気を益々濃厚に醸して行きます...
野村胡堂 「死の舞踏」
...この妙な思い出は益々濃厚に精細に...
葉山嘉樹 「淫賣婦」
...軽微な伝染病は表全体にかなり濃厚に分布している...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...後に発達した和算に芸術的の気分が濃厚に現われたのも...
三上義夫 「文化史上より見たる日本の数学」
...そのひとこまには濃厚に...
宮本百合子 「巖の花」
...比較的濃厚に伝わっている区域なのであるが...
柳田国男 「年中行事覚書」
...そんな晩に限って特別に濃厚に...
夢野久作 「奥様探偵術」
...愈(いよいよ)濃厚になって来たので...
夢野久作 「近世快人伝」
...一層濃厚になって来ますから...
横光利一 「上海」
...さすがに紫紺色を濃厚に加へて...
吉江喬松 「山岳美觀」
...現實の中にある自分とのつながりを可なり濃厚に持つてゐないものはないと思ふ...
吉川英治 「折々の記」
...性格や気質の上にもかなり濃厚に父親似が感ぜられた...
和辻哲郎 「漱石の人物」
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