...うしろへさげ髪にした濃い艶(つや)のある房(ふっさ)りした...
泉鏡花 「瓜の涙」
...御洋装の時は黒の濃いヴェールを被っていられますので...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鉄の処女」
...外は黄色い濃い日が當つてゐるやうな...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...伝統の色の濃い陰気な農家が浮んできました...
豊島与志雄 「死因の疑問」
...濃い眉毛が健康そうだ...
豊島与志雄 「女客一週間」
...地方の土豪劣紳にも、都市の老舗にも、学府の長老にも、この文化人の後裔は多く、その伝統は濃い...
豊島与志雄 「北京・青島・村落」
...十九湯の中は、薄暗くて――乏しい光と、濃い湯気とで、すぐ側の人の顔さえ、判らなかった...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...私は濃い夜色の中に立つてゐた...
中沢臨川 「愛は、力は土より」
...かなり濃い霧である...
中谷宇吉郎 「樹氷の科学」
...すると飽(あ)くまで白い頬に裏から朱を溶(と)いて流したような濃い色がむらむらと煮染(にじ)み出した...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...濃い眉だけが辛じて水々しかつた...
林芙美子 「瀑布」
...油っ濃い感じが出る言葉ではないか...
古川緑波 「ああ東京は食い倒れ」
...それは先ず塩とお砂糖で濃い葛湯(くずゆ)を拵らえてそれへ摺った山葵と蜜柑の実ばかりとを入れて掻(か)き交(ま)ぜたのです...
村井弦斎 「食道楽」
...今度は少し濃い色のを着て悲しみを示された...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...夕闇の色が濃い...
森本薫 「みごとな女」
...髪は青年のように黒ぐろと濃いが...
山本周五郎 「季節のない街」
...濃い霜は山から、森から、稻田、村道一帶の上を眞白く包み、柿の葉が眞紅になつて、ぱらぱらツと散り、桑の葉が黄色くなつて、ぐつたりと地に落ちる...
吉江喬松 「山岳美觀」
...退(さ)がって来る美人――何かを捧げ持って――燈影(とうえい)の下を楚々(そそ)と通う女性たちの色やにおいにそれが濃い...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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