...地球の濃い空気の圧力からまもっていた胴がこわれ...
海野十三 「火星兵団」
...鼻の下に濃い口髭がある...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...淡い中に濃い影をつゝみ...
田山録弥 「動的芸術」
...濃い暗い稍(やや)冷たい紫の莟(つぼみ)が破れ開いて...
寺田寅彦 「木蓮」
...道ぞいの流れの向うに裾をひいている山には濃い青嵐(せいらん)が煙(けぶ)ってみえた...
徳田秋声 「あらくれ」
...世間の人情よりも一層濃いものがあって...
中里介山 「大菩薩峠」
...白粉の濃い女です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...喫茶店で濃いコーヒーを飲んだ...
原民喜 「霧」
...どうか、あとはお察し下さい」襖の外で、こんばんは、という清(すず)しい声がして、二十三四の、水の垂れそうな島田にスッキリと櫛の歯が通って、すこし痩せ身な、眉の濃い、眼元のパッチリとした、気高いほどに美しい芸者が敷居際に軽く片膝をついて、「明けましておめでとう...
久生十蘭 「魔都」
...馬車は、濃い鼠色をした、やはり木造の一階建の家の前に停ったが、その家の窓の上には白い薄肉彫がほどこしてあり、窓の前には、長(たけ)の高い木の四つ目垣をめぐらした、小さな植込があって、その四つ目垣のなかの細い樹々は、しょっちゅう町の埃をかぶるので、真白になっていた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...濃い黄色の萼(がく)がメアリの碧眼(へきがん)に見える...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...濃い紅玉と紫水晶のとけ合わされたような花の色どりは立派で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一面に濃い群青(ぐんじょう)の夏の空だ...
山川方夫 「暑くない夏」
...心労の影の濃い頬...
山本周五郎 「新潮記」
...すると面ながの、眉の濃い、しんのきつそうな良人の顔が、どういうわけか今はじめて見るように思え、それがいかにもめおとの縁の浅いことを証拠だてるようで堪らなくかなしかった、石臼はごろごろと重い音をたてて廻っていた...
山本周五郎 「日本婦道記」
...やはり誰よりもおばばとが濃い仲だった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...思い出せる濃い記憶は...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...山の根にはしつとりと濃い雲が降りてゐた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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