...夕月が濃い雲の切れ目から姿を見せたのだった...
有島武郎 「或る女」
...まっくろに見えるほど濃い色彩の結塊だ...
谷譲次 「踊る地平線」
...庭のとりどりの色までがひとしお濃い暗黒の影のようにしか見えなかつた...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「とけない問題」
...濃い花の色が鮮かに目に映った...
徳田秋声 「黴」
...大地から上ってくる太陽――パリーの街路と埃(ほこり)だらけの人家と濃い煤煙(ばいえん)との牢獄(ろうごく)から...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...濃い眉(まゆ)、濡(うる)みがちな眼つきをした大きな美しい眼、家鴨(あひる)の嘴(くちばし)のように先端がやや赤味を帯びてそり返ってる太い低い鼻、人のよさそうなやさしげな厚い唇(くちびる)、元気な頑丈(がんじょう)なふっくりしてる頤(あご)、高くはないが広い額(ひたい)...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...ベットリと濃い青髯(あおひげ)の跡のある...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...白粉の濃い顏です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...路地のやみは漆の如く濃い中を...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それに花色の淡いものと濃いものとがあったが今残っているか...
牧野富太郎 「植物記」
...濃い褐色の皺(しわ)の寄った顔で...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...それは濃い霧の中を...
山本周五郎 「青べか物語」
...彼の濃い眉毛やひき緊った唇や...
山本周五郎 「落ち梅記」
...心労の影の濃い頬...
山本周五郎 「新潮記」
...しかも、その細長い眉や、濃い睫毛や、クローバ型の小さな唇の輪廓(りんかく)のすべては、初めの通りの美しい位置に静止したままであった...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...椅子の上に反(そ)り返って濃い煙をあとからあとから吹き上げると...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...そして濃い紫地に桐もようの裃(かみしも)を着け...
吉川英治 「新書太閤記」
...自分はいきなりその濃い雰囲気のなかへ引き入れられて行くように感ずる...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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