...父の書棚(しょだな)のあった部分の壁だけが四角に濃い色をしていた...
有島武郎 「或る女」
...色の白い髪の濃い...
上村松園 「京のその頃」
...北天の一隅に埋伏(まいふく)し居た彼濃い紺色(インジゴーいろ)の雲が...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...濃い眉(まゆ)、濡(うる)みがちな眼つきをした大きな美しい眼、家鴨(あひる)の嘴(くちばし)のように先端がやや赤味を帯びてそり返ってる太い低い鼻、人のよさそうなやさしげな厚い唇(くちびる)、元気な頑丈(がんじょう)なふっくりしてる頤(あご)、高くはないが広い額(ひたい)...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「天狗岩(てんぐいわ)はあの辺ですか」「あの翠(みどり)の濃い下の...
夏目漱石 「草枕」
...郷土的な味の濃い人で交響楽にも室内楽にも民謡的な情趣を取り入れている...
野村胡堂 「楽聖物語」
...白粉の濃い顏です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...濃い陰翳を見せてゐるのはたまらない痛々しさを感じさせます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...下唇に黒子があつて眉の濃い娘でした...
林芙美子 「小さい花」
...灼熱(しゃくねつ)した鉄の熱気が鼻をついてくるのだ! 息のつまるような臭いが牢獄に満ちた! 私の苦悶をにらんでいる眼は一刻ごとにらんらんとした光を強くした! 血の恐怖の画の上には真紅のもっと濃い色がひろがった! 私はあえいだ! 息をしようとしてあえいだ! 私の迫害者どもの計画についてはなんの疑いもない...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「落穴と振子」
...とても濃い人情劇になるのに...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...頭髪の濃い色白の女で...
松本泰 「宝石の序曲」
...菩提樹の若いとんがった青緑の粒だった芽立ちと夜は樹液の匂いが柔かく濃い闇にあふれます...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...うすぐらい六疊の間にこれほどの濃い微笑みは...
室生犀星 「神のない子」
...その濃い眉(まゆ)がピクピクと波打って...
夢野久作 「巡査辞職」
...濃い煙が昇って来るだけである...
吉川英治 「新書太閤記」
...明国物(みんこくもの)のにおいが濃い...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...絹よりもずっと目の荒い麻布の上に、濃い絵の具で、少し斜めに向いた豊頬(ほうきょう)の美人が画かれている...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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