...木部は濃い赤で塗られ...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...で、六が砂まぶれの脚絆をすじりもじって、別荘の門を通ったのと、一足違いに、彼は庭下駄で、小石を綺麗に敷詰めた、間々(あいあい)に、濃いと薄いと、すぐって緋色なのが、やや曇って咲く、松葉牡丹(まつばぼたん)の花を拾って、その別荘の表の木戸を街道へぶらりと出た...
泉鏡花 「浮舟」
...濃化粧の魔女のはく息は...
大手拓次 「藍色の蟇」
...色あいが濃厚であった...
太宰治 「ロマネスク」
...こんもりと影の濃い緑の深い岩山...
田山録弥 「草津から伊香保まで」
...「では、濃くしようか、濃くなるかの」百城は、片膝を立てて、綱手の肩を、引き寄せた...
直木三十五 「南国太平記」
...信濃の国の白骨となん呼べるいでゆに遊びてしかじか...
中里介山 「大菩薩峠」
...濃(こまや)かなる調べは...
夏目漱石 「虞美人草」
...烟(けむ)りは椿の弁(はなびら)と蕊(ずい)に絡(から)まって漂う程濃く出た...
夏目漱石 「それから」
...血を喪(うしな)つた娘の顏は青白く引緊つて、死色の濃い頬に、柔かい鼻筋が影を落して居るのも哀れですが、クワツと開いた眼には、恐怖と怨恨が凍り付いて、美しいだけに、物凄まじさも一としほです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...芝居の頼兼公のような濃紫の鉢巻をして駕籠に揺られ...
正岡容 「小説 圓朝」
...こうして様々の濃淡であるのは美しいわ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...甲斐北巨摩(きたこま)郡小淵沢(こぶちざわ)村字上阿原陸中江刺(えさし)郡伊手(いで)村字阿原山尾張東春日井(ひがしかすがい)郡和多里(わたり)村大字三ツ淵字東阿原美濃山県(やまがた)郡山県村大字北野字阿原沖因幡(いなば)八頭(やず)郡菅野(すがの)村大字淵見字日向阿原讃岐(さぬき)小豆(しょうず)郡土(と)ノ庄(しょう)町字アワラ島これらの阿原は果していかなる共通の地形を具えているか...
柳田國男 「地名の研究」
...陸奥南津軽郡山形村大字南中野字阿手ノ沢美濃本巣(もとす)郡根尾村大字東根尾字アテガ平等のごときはあるいはアテの木の生ずるによる地名ともいい得よう...
柳田國男 「地名の研究」
...あのころよりも一層濃くなった緑の色のむらむらと打ち重なった樹幹を眼で選り分け...
横光利一 「旅愁」
...晴れたSeine(セエヌ)の濃紫(こむらさき)今その水が目に浮(うか)び...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...似絵(にせえ)師のことばでよく、“藤原顔”というあの瓜実顔(うりざねがお)ではあるが、鳳眼(ほうがん)するどく、濃いおん眉、意志のつよげなお唇もと、また、ひげ痕も青々と、皇系にはまれな男性的な御風貌であった...
吉川英治 「私本太平記」
...はっきりした態度に好意をもつ傾きの方が濃くて...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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