...一言で云つて了へば彼にはコンゼクエンツを要求する氣分が隨分濃厚に働いてゐたのである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...総体が濃淡の染分(そめわけ)に煤(すす)びわたりて...
石川啄木 「閑天地」
...実は之によって却って益々直観的な性質をこの常識は濃厚にするのである...
戸坂潤 「思想としての文学」
...濃いシロップでも飲まう冷たくして...
中原中也 「在りし日の歌」
...金華山の沖で出来る濃い過冷却水滴の霧がやって来て...
中谷宇吉郎 「樹氷の科学」
...印度(インド)洋の航海の間には随分濃い海の色も見たはずであるが...
中谷宇吉郎 「真夏の日本海」
...脊(せい)のすらりとした、色の浅黒い、眉の濃(こ)い、唇の薄い女である...
夏目漱石 「それから」
...また一方ではその相違がかえって彼の眼に映ずる「男女の世界」なるものの特色を濃く示しているようにも見えた...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...ひときわ濃くなった暮れ色のなかで...
久生十蘭 「西林図」
...一同の面には疲労の色が濃くあらわれていたが...
久生十蘭 「地底獣国」
...――頤骨がぎつくりと肘のやうに突き出て、色艶は塗物のやうな滑らか気な艶に富み、濃褐色であつた...
牧野信一 「鬼涙村」
...みるみるうちに濃い緑の液体は...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...姉は濃い化粧のために見違えるほど美しかった...
室生犀星 「幼年時代」
...濃紅女王様が俺(わし)に直ぐ来いと仰せられたか」これを聞くと騎兵はキョトンと妙な顔をしました...
夢野久作 「白髪小僧」
...総じて船首の飾りや船楼は濃厚な色彩で塗りたて...
吉川英治 「三国志」
...何事が起りましたやら――」「美濃路から?」と...
吉川英治 「新書太閤記」
...もうもうと濃い黒煙が地を這ってくる...
吉川英治 「新書太閤記」
...美濃部十郎や柘植(つげ)半之丞の輩(ともがら)は...
吉川英治 「新書太閤記」
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