...影を濃く立って謡うと...
泉鏡花 「歌行燈」
...小室は如斯場合にも猶丹濃の態度に目を留めてか天晴れな壯年よと感嘆した...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...丹濃は太都夫を伴うて小室に介し...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...やがて真暗な夜の濃い暗闇の中に見えなくなってしまった...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...この上昇気流の速度の最大なところがちょうど地面にあるものの香気臭気を最も濃厚に含んでいる所に相当するのである...
寺田寅彦 「とんびと油揚」
...劇場の工場はその油濃い灰と焼けるような煙とを...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...もっと濃い情愛を濺(そそ)がれたかったはずなのに...
中里介山 「大菩薩峠」
...生国の濃州恋しさに此山中に舞い戻り...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...ただし濃州まで出張したのではなく...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...すみきった濃い藍(あい)のいろにひろがった海ははるかのかなたまで鷹揚(おうよう)なうねりをたたえ...
火野葦平 「人魚」
...夜が明けて三時間ほどして風は止んだが、濃みどりの海は、震える山々が火を噴く時に酔ったもののように揺れ止まぬ雪ふかい連山に似て、揺れやまなかった...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「剣のうた」
...濃紫(こむらさき)の山葡萄(やまぶどう)の実が...
宮原晃一郎 「熊捕り競争」
...畠地のうしろの松林に濃い朝靄(あさもや)がおりていて...
山本周五郎 「日本婦道記」
...そうして寝台に倒れかかったままじっと濃紅姫の死体を見ていましたが...
夢野久作 「白髪小僧」
...見渡すかぎり緑の色は常よりも濃く...
吉江喬松 「木曾御嶽の両面」
...むしろ伊吹を攻めて、あの要害と地の利を占(し)め、そこにおいて、家祖八幡殿からのわが足利家が、本来の源家の棟梁(とうりょう)にたちかえり、多年の悪北条を討ちほろぼして、時の宮方にお味方したてまつると、天下へ公(おおやけ)にしたならば、伊勢、美濃、飛騨にわたる不平どもも、争ッて馳(は)せ参じるは疑いもない」直義は誇った...
吉川英治 「私本太平記」
...拙者は海野信濃守行親(うんのしなののかみゆきちか)の子です」「えっ」思わず範宴は眼をみはった...
吉川英治 「親鸞」
...――この信濃(しなの)の教化(きょうげ)も...
吉川英治 「親鸞」
便利!手書き漢字入力検索