...濁りなき血の汗を搾(しぼ)り搾られた揚句が...
石川啄木 「雲は天才である」
...濁り水の動く浪畔(なぐろ)にランプの影がキラキラする...
伊藤左千夫 「水籠」
...饑ゑては食を擇ばず、夜更けては宿屋を擇ばずと悟り顏して、車掌の勸むるまゝに、一旅店に投じたるが、女中までも浴したる後の風呂、白く濁りて、ぬるく、而も垢臭く、通されたる前二階の六疊の部屋、三人には、ちと窮屈也...
大町桂月 「上州沼田より日光へ」
...岸を浸さんばかりの濁り水が...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...小便の濁りをしらべられるあのコップへ小便をする直前に...
高見順 「いやな感じ」
...やがて濁り川ぬるくにほえど...
田山花袋 「日本橋附近」
...沙場に伏して濁りたる波に空しく浸らしむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...ひどく濁りっぽい気持になっていた...
徳田秋声 「仮装人物」
...沼の底をかき乱して水中に泥の濁りを立てるような...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...牧は、土のついた、濁り、淀んだ、黒灰色の顔を上げた...
直木三十五 「南国太平記」
...濁りでもいいから一杯飲みたくなりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...濁り、限られ、さも苦しそうにあとから あとからケッケッケッケッ、コキーケッケッと叫ぶのだ...
宮本百合子 「五月の空」
...六月ごろから水が濁り始め...
武者金吉 「地震なまず」
...声などもそうした地方の人と同じような訛(なまり)声の濁りを帯びたものになり...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そのため本来清浄な性(さが)に濁りが来るのである...
柳宗悦 「民藝四十年」
...――私は身體の中から都會の濁りが空の中へ流れ出す疲れをぐつたりと感じていつた...
横光利一 「榛名」
...この滔々(とうとう)と濁りきっている元禄の時流が革(あらた)まると期しておられるなら...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...親しみを感ずると共にその自分を一層濁りのないものに...
若山牧水 「樹木とその葉」
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