...耳を澄ますようなけはいをさせた...
芥川龍之介 「お律と子等と」
...耳を澄ますと僅に木魚の音が聞える...
高濱虚子 「俳諧師」
...と言つて澄ます事にしよう...
太宰治 「お伽草紙」
...耳を澄ますようにしていた...
田中貢太郎 「地獄の使」
...気のせゐかも知れぬと耳を澄ますと...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...耳を澄ますと、だんだんこちらへ近づいて来た様子なので、与次郎が驚いて眼をあけて見ると、向うから何十匹とも知れぬ猿が枝に伝わってやって来たが、それが皆、与次郎の前へ坐って一礼した...
中里介山 「大菩薩峠」
...何だか耳を澄ますと空でさらさらという音を立てているような感じである...
中谷宇吉郎 「粉雪」
...客間の扉が開閉する時の切れ/″\の話聲などに耳を澄ますことであつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...耳を澄ますと小波(さざなみ)の音が幽かに聞えたが...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...耳を澄ますと、箱の中からごく微(かす)かに鼻を摘(つま)んでものを言っているような声が聞こえてくる...
松本泰 「暴風雨に終わった一日」
...社殿前に立ちて精神を澄ますにあり...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...そうして誰も通っていないのを見澄ますと...
夢野久作 「縊死体」
...暫く心耳を澄ますといえども...
吉川英治 「江戸三国志」
...じっと見澄ます自斎には...
吉川英治 「剣難女難」
...殊にお手前の音(ね)いろを聞き澄ますに...
吉川英治 「八寒道中」
...(深沢のやつが来たんか?)源吉は、耳を澄ますと、陰のボックスから、男の笑い声にもつれて、京子の「くッくッくッ」という嬉しそうな笑い声が、故意(わざ)とでないか、と思われるほど、誇張されて、響いて来た...
蘭郁二郎 「鉄路」
...耳を澄ますと、それは嗄(しゃ)がれた、呻(うめ)く様な声で確かに書記の居(お)る室から来るらしい...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
...茂った枝葉の中に身を静めながら耳を澄ますとそれは例の伊奈節を唄っている男の声であった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索