...様子如何にと耳を澄まして居るらしい...
石川啄木 「雲は天才である」
...やがて精養軒の玄関へお抱(かか)え然たる一人乗を横付けした漣が貴公子然と取澄まして俥を下りる跡からヨタヨタ俥を下りて朴々乎(ぼくぼくこ)と従(つ)いて行く紅葉と私の二人の恰好(かっこう)は余り好(い)い図ではなかった...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...じっと気を澄ましていると...
江戸川乱歩 「悪霊」
...またその教会に通う若い男女のキザに澄ました態度に辟易(へきえき)して...
太宰治 「惜別」
...耳を澄ましたりした...
徳田秋声 「黴」
...このごろのように行い澄ました心持になってみると...
中里介山 「大菩薩峠」
...嫂(あによめ)はただ澄まして「そうね」と云った...
夏目漱石 「行人」
...第一物(もの)に区切(くぎり)のあるという事をあなたは御承知ですか」自業自得な夫に対する叔母の態度が澄ましたものであると共に...
夏目漱石 「明暗」
...電車に乗った夫妻はぢっと澄ましてゐた...
原民喜 「飯田橋駅」
...彼女は一歩ごとに注意深く辺りの音に耳を澄ました...
松本泰 「宝石の序曲」
...かの女はそのとき目を閉じて耳だけを澄ましていたのである...
室生犀星 「香爐を盗む」
...どこからか怪しい物音が近付いて来はしまいかと、耳を澄まし、眼を凝(こ)らしながら身構えていたが、そのうちに薄黒いダンダラを作った花壇の向う側の暗黒を、白々と横切っている混凝土(コンクリート)塀に眼を止めると、彼は思わずニンガリと冷笑して首肯(うなず)いた...
夢野久作 「白菊」
...夕星(ゆうずつ)仰いで深い眼を澄ましていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...峰阿弥は外の木枯らしに耳を澄まして...
吉川英治 「親鸞」
...蜂須賀家の者がつけ澄ましているところを知りぬいていたので...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...耳を澄ましているふうだったが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...剣の先から見澄ましているだけだった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...耳を澄まして見たが...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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