...人は漠然と、もしかれらがこの株式組織と工夫(こうふ)の鋤との活動を長くつづけてさえいけば、いつかは誰も彼も、またたくまに、無料で、どこかに乗って往けるようになるだろう、などと考えている...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...階段を登りきって立ちどまったとき、初めて漠然と、自分の歩調の狂気じみていることに気づきました...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「無駄骨」
...漠然と田舍の夏を豐富なものに感ずるのは...
田畑修一郎 「盆踊り」
...それは漠然と〔軍〕国主義乃至〔軍国〕意識と呼ばれてもよいものであって...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...自分が今迄漠然と気兼ねしていたこと...
豊島与志雄 「同胞」
...初めはただ漠然とした立像だった...
豊島与志雄 「反抗」
...漠然とした不安の念が寄せて来た...
豊島与志雄 「二つの途」
...ワーテルローの敗戦がナポレオンの前に開かれしことが漠然と感じ得られた時...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...併し漠然と、こうしていたら、病床から起き出したとき、青江に冷淡さを示すのは随分困難になりそうだと不安になった...
豊田三郎 「リラの手紙」
...チェカの追いまわしに疲弊した皇族や貴族大官の心には漠然とした嫌悪の念をおこさせただけだったが...
久生十蘭 「淪落の皇女の覚書」
...事実においては漠然としてなんらの見識もなき者に等し...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...漠然と迷ひながら...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...一人々々の人間ではなく街ぜんたいが漠然とした敵であった...
本庄陸男 「石狩川」
...多くの場合後から来る若い女のひとたちに漠然とした恐怖をおこさせる...
宮本百合子 「新しい船出」
...同時にもとその論文の一部を読んだ折にも漠然と私の心に生じた疑問がある点つよめられ深められた...
宮本百合子 「芸術が必要とする科学」
...漠然としか書きませんでしたから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ということを漠然と感じ...
山本周五郎 「季節のない街」
...彼は漠然とそう思った...
山本周五郎 「山彦乙女」
便利!手書き漢字入力検索