...同時に又襖(ふすま)一重向うに咳(せき)一つしずにいる母のお鳥に何か漠然とした不安も感じた...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...」とは漠然とながら思つてゐたが...
石川啄木 「弓町より」
...甚だ漠然としたものを頭に置いていたのでしょう...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...しかしそこには漠然とした無邪気な嫉妬があって...
O. H. ダンバー O. H. Dunbar The Creative CAT 訳 「長い部屋」
...何か漠然とした願望に苛(さいな)まれだす...
チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「グーセフ」
...厳密な統計的研究をした上でなければ「家を建てると人が死ぬ」というような漠然とした言明は全然無意味である...
寺田寅彦 「柿の種」
...初め私はただ漠然と郊外でも歩くつもりで...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...」漠然と答える時には...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...漠然とした佗びしさの被(ベール)を通して見た情慾であった...
豊島与志雄 「球突場の一隅」
...暗い深い漠然としたものだった...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...(そう漠然と青江を突っぱなすのは久能には変に快よかった...
豊田三郎 「リラの手紙」
...漠然とした空の一角をにらみながら考えた...
本庄陸男 「石狩川」
...宝沢とお玉との交渉を漠然とは想像していたが...
松本泰 「暴風雨に終わった一日」
...新しき書物によって解決され得るものと漠然と考えて...
三木清 「語られざる哲学」
...元気のようにして居られましたがと漠然としていた...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その出入帳の数字を漠然と見るだけでも...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...まったく漠然と――であった...
吉川英治 「旗岡巡査」
...在来の漠然とした杞憂が裏づけられるに十分であったであろう...
和辻哲郎 「鎖国」
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