...舊暦十五夜の月は廣漠たる石狩の大原野を照し...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...イノシシやらを思いのままに狩り出すことのできる広漠たる狩猟場の真ん中に建っていた...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...広い荒漠たる野が見える...
田山花袋 「一兵卒」
...思想は決して飯の菜にさえなり得ない程に空漠たるものである...
辻潤 「錯覚自我説」
...それで彼の一神教的哲学は茫漠たるロシアの単調の原野の民には誠に恰好なものであり...
寺田寅彦 「札幌まで」
...広漠たる大陸の土地の...
豊島与志雄 「広場のベンチ」
...二広漠たる荒海の上を...
豊島与志雄 「風景」
...絵画彫刻音楽に至るまでまた昔日(せきじつ)の如く広漠たる高遠の理想を云々(うんぬん)せず概念の理論を排してひたすら活(い)ける生命(せいめい)の泉を汲まんとす...
永井荷風 「矢立のちび筆」
...今まで漠たるペチャクチャを囀っていた旅の者――誰が見ても通常の東海筋の伊勢参りとしか見えなかった二人の者が...
中里介山 「大菩薩峠」
...更に足一たび亜細亜(アジア)に向えばそこに茫漠たる大陸を占むるの余地あり...
新渡戸稲造 「東西相触れて」
...茫漠たる曠野と、怪奇を極めた岩山と、ゴティクとアラビクのまざり合つた異樣な樣式の建物と、エル・グレコとゴヤとヴェラスケスの繪畫と、女・男の美しい顏と粗末な風裝と、内亂の悲慘を物語る破壞と焦土と、塹壕とトーチカと、彈丸の缺けらと鐵條網と、血痕と墳墓と、……そんなものが二重映し三重映しになつて視覺から離れなかつた...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...去年はアパートの五階に住み荒漠たる洋室の中壁に寢臺(べつと)を寄せてさびしく眠れり...
萩原朔太郎 「氷島」
...こんなものを見てすぎて行く僕は空漠たる旅人なのだらうか...
原民喜 「火の子供」
...金剛砂(エムリ)とクワルツ土の広漠たる原野を彷徨したのち...
久生十蘭 「地底獣国」
...人里離れた広漠たる面影が...
北條民雄 「間木老人」
...それを茫漠たる空間にほっておかないで...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...我々の世紀に至って茫漠たる大陸が...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...そして水夫等の廣漠たる墓場は間近にあつて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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