...露西亞人――といふ廣漠たる背景を考ふることなしには...
石川啄木 「所謂今度の事」
...イノシシやらを思いのままに狩り出すことのできる広漠たる狩猟場の真ん中に建っていた...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...彼女のうちには極めて漠たるロマンチックなものが在った...
豊島与志雄 「運命のままに」
...杉本は一層茫漠たる様子で...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...その時彼の意識の中は、広漠たる空白で、而もその空白のなかに無数の超現実的な映像が立罩めていた...
豊島与志雄 「死の前後」
...佗びしい索漠たる感じが四方から寄せてきた...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...広漠たる大氷原で...
豊島与志雄 「北極のアムンセン」
...茫漠たる焼野に建物が建つたためには...
中原中也 「アンドレ・ジイド管見」
...しかしアメリカ西部のあの広漠たる沙漠地帯を横切って...
中谷宇吉郎 「アラスカの氷河」
...荒漠たる泥炭地の地平線は...
中谷宇吉郎 「泥炭地双話」
...泥炭地は大抵は一望千里の広漠たる平地で...
中谷宇吉郎 「泥炭地双話」
...茫漠たる曠野と、怪奇を極めた岩山と、ゴティクとアラビクのまざり合つた異樣な樣式の建物と、エル・グレコとゴヤとヴェラスケスの繪畫と、女・男の美しい顏と粗末な風裝と、内亂の悲慘を物語る破壞と焦土と、塹壕とトーチカと、彈丸の缺けらと鐵條網と、血痕と墳墓と、……そんなものが二重映し三重映しになつて視覺から離れなかつた...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...去年はアパートの五階に住み荒漠たる洋室の中壁に寢臺(べつと)を寄せてさびしく眠れり...
萩原朔太郎 「氷島」
...山のむこうにはまた空漠たる曠原が待ちうけているのだろう...
久生十蘭 「新西遊記」
...人里離れた広漠たる面影が...
北條民雄 「間木老人」
...身はこの廣漠たる歐洲大都の人の海に葬られんかと思ふ念...
森鴎外 「舞姫」
...再び空空漠漠――この漠漠たる空の中に...
横光利一 「旅愁」
...一荒漠たる秋の野に立つ...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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