...世間を一向知らない私は前にもいう通りこういうものを書く人は皆世の中の酸(す)いも甘いも噛分(かみわ)けた中年以上の通人だとばかり漠然(ばくぜん)と思って...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...遥かにこの南半球の濠洲のサンデー砂漠地帯の一区劃(くかく)に移駐(いちゅう)することを許された次第(しだい)であった...
海野十三 「人造人間戦車の機密」
...はなはだ漠然としたことで...
コナン・ドイル 三上於莵吉訳 「暗号舞踏人の謎」
...――折にふれて漠然と頭に浮べたこと...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...手で伝ってる壁や頭の上の丸天井などが漠然(ばくぜん)とわかってきた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...漠々と連なる陸奥(みちのく)の平野を見ているうちに...
中里介山 「大菩薩峠」
...余りに漠然知覚するので...
中原中也 「我が詩観」
...大沼の岸辺に立った時は、水平線は霧にまぎれて、石狩岳もトムラウシもありやなしや、ただ茫々漠々、水辺に偃松がはえていなかったら、山か海かわからない不思議な景色だった...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...あの茫漠単調な地平線を破って突兀(とつごつ)と聳える山岳が...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...漠然と空(くう)をながめていた...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...砂漠の彼方にいま沈まうとする太陽の赤さ――彼女は...
北條民雄 「赤い斑紋」
...私は漠然と感じていた...
堀辰雄 「美しい村」
...お前のことをもっともっと考えたいんだ……」私はそのとき咄嗟(とっさ)に頭に浮んで来た或る小説の漠としたイデエをすぐその場で追い廻し出しながら...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...生涯砂漠の風が身に沁(し)みるぞ...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...小説を書いたといふことで僕が漠然としたおそれを抱いてゐた変な堅苦しさは少しも感ぜられず...
牧野信一 「「三田文学」と巌谷夫人」
...その頃私は弁論の練習をしながら大政治家になろうという空漠な野心に燃えていたのだった...
三木清 「語られざる哲学」
...せんだってのディートリッヒとヴォアイエの「砂漠の花園」などは中途はんぱで工夫倒れの感があった...
宮本百合子 「映画の恋愛」
...一種の精神病というがごとき漠然(ばくぜん)たる理由では...
柳田国男 「山の人生」
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