...耳に手を置き添えて笠井の言葉を聞き漏らすまいとした...
有島武郎 「カインの末裔」
...己れの感慨を漏らすのか解らぬ程...
有島武郎 「かんかん虫」
...余は遂に未遂の大望を他に漏らす能わざるなり...
高浜虚子 「子規居士と余」
...他(はた)の批評を一句も聞き漏らすまいといつもおど/\と慄(ふる)へてゐた...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...」而もいまは君に就てこんな嘆聲を漏らす必要もなく...
土田杏村 「風は草木にささやいた」
...満足らしく溜息を漏らす...
コナン・ドイル 三上於莵吉訳 「空家の冒険」
...平常家老に対して頭を下げた不平を聊か漏らす事が出来た...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...己(おの)が師をさえ侮るの語気を漏らすことがある...
中里介山 「大菩薩峠」
...ゼイゼイ漏らす息に伴(つ)れて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...誰にも漏らすやうな事は無いよ」「店を拔け出して來るのも容易ぢや御座いません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...村右衛門に脅(おど)かされた言葉が恐ろしくて秘密を漏らす間もないうち...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「もう少ししたら彼女は何か漏らすだろう」そう彼は考えた...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...ぜひメイの計画に賛成したいと漏らすと...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...田舎へ帰ることがすつかり決つたやうな顔をして母親の陰ですこしでも此等の話を聞き漏らすまいと大きな悲しさうな眼で私を眺めてゐます...
室生犀星 「ザボンの実る木のもとに」
...ことごとく子供たちに漏らすわけにはゆかない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...切って善光寺へ出ずるものとお心得あってよかろう」もちろんこれは寸前まで味方の士卒のあいだにも兵略の機微(きび)を漏らすまいとする万全の用意から出た揚言(ようげん)であった...
吉川英治 「上杉謙信」
...小次郎の身を自宅で世話をしたいらしい意嚮(いこう)を漏らすと...
吉川英治 「宮本武蔵」
...独りで苦笑いを漏らすことがあった...
蘭郁二郎 「鉄路」
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