...その眼には涙の漂(ただよ)った底に...
芥川龍之介 「母」
...夜気に漂つてゐるだけだつた...
芥川龍之介 「六の宮の姫君」
...力なく漂う船の前まで来ると...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...黄金の糸の雲の如く空中を漂い...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...林間に幽霊の空中に漂える姿を見...
井上円了 「おばけの正体」
...ところ/″\に紗のやうな薄い白雲が漂うてゐるばかり...
近松秋江 「箱根の山々」
...頬のあたりに弱々しい神経的なものが漂い...
豊島与志雄 「椎の木」
...敏子の頬にかすかな微笑の影が漂っている...
豊島与志雄 「裸木」
...宗教的悲哀美を論じて人生最高の理想的生活は寂寞たる放浪漂泊の生涯であると云ふやうな草稿を書いて居た時にも...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...三たび漂泊するうちに妻君はしだいと自分の傍を遠退(とおの)くようになった...
夏目漱石 「野分」
...どことなくのんびりした空氣が漂つてゐた...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...職を求めて漂泊し...
萩原朔太郎 「小泉八雲の家庭生活」
...寂しき漂泊者の影なり...
萩原朔太郎 「氷島」
...すこし失望の色を漂はせ過ぎる...
堀辰雄 「萩の花」
...けれ共今まで一度も見た事の無い表情がのびやかな眉の間にも輝いた頬にも漂うて居るのを見付けた子は不思議さに眼を見開いた...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...セイレエン等憂きこと知らぬ漂(ただよい)の世を...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...いわゆるシイ・ジプシイ(海の漂泊者)で...
柳田国男 「故郷七十年」
...此處に於ては麗朗の中に漂ふ」とミシユレはその著「山岳(ラモンタアニユ)」の中で云つてゐる...
吉江喬松 「山岳美觀」
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