...自分は全存在の根柢を脅かして殺到し來る自然の威力の前に戰慄し乍ら、自分の生活の如何に宇宙の眞相に徹すること淺く、漂蕩し、浮動し、兒戲し、修飾する生活であるかを思つた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...寒さのために重くなつた空氣の中を靜かに舞ひ漂つて...
有島武郎 「秋」
...光を含んだ青空が静かに流れるように漂っていた...
有島武郎 「或る女」
...此国には昔から一種熬々(いらいら)した不穏(ふおん)の気が漂(ただよ)うて居る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...矜(ほこ)らかで思索的で潔白な言い知れぬ趣が漂っていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...途中大風に逢って翌六年二月まで海と島との間を漂流した...
中里介山 「大菩薩峠」
...淡路島に長八尺の沈水香が漂着したのを...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...舵(かじ)も水先(みずさき)もないように波のまにまに漂(ただよ)っている...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...何かの花の匂などが風につれてこちらまで漂って来るにつけても...
堀辰雄 「姨捨」
...格子をしっかと掴み、ボートを力一杯引き出し、直後に飛び乗り、水面に漂うと、無力でひとりぼっち、真っ黒な流れのまっただ中にいた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...又米國の貨品が布哇に漂著せる例あり...
南方熊楠 「秘魯國に漂著せる日本人」
...なまなましい排泄物や塵芥やらが漂うていることも稀れなことではない...
山之口貘 「ダルマ船日記」
...あれ程の死骸を漂わした隅田川――...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...も早や異国の匂いの脱けきれぬ自分の身の漂いを感じ...
横光利一 「旅愁」
...伽羅の匂いさえほのかに漂つて来るような心持がして...
吉井勇 「雑魚寝」
...しかし漂泊(ひょうはく)して行く先々の人情はすでに政職の頼りに考えていた知己とは違っていた...
吉川英治 「黒田如水」
...漂泊(ひょうはく)したあげくに...
吉川英治 「親鸞」
...縹渺(ひょうびょう)たる雰囲気を漂わしてたたずむ...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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