...熱帯の森林を失った蜥蜴や蛇の標本は妙にはかなさを漂(ただよ)わせている...
芥川龍之介 「早春」
...血色の悪い丸顔に愛嬌(あいきょう)のある微笑を漂わせて...
芥川龍之介 「毛利先生」
...愛人と共に荒野を漂ふジプシーの旅に任しゆく氣輕さは...
竹久夢二 「砂がき」
...たちまち悲憤の色を漂わせた...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...辛道度(しんどうと)は漂泊の旅を続けていた...
田中貢太郎 「黄金の枕」
...空気の中にもう勝利の気が漂っているような気がし...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...漂船に缺乏品を與へたことは澤山例があるけれど...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...蒼白い死の色の漂うなかに鉢植えの頭(けいとう)の花ばかりが燃えさかる生の色をめざましく日光に耀(かがや)かしている...
中勘助 「母の死」
...泰西の潮流に漂うて...
夏目漱石 「写生文」
...一見して旧派の女形然たる千代三とは似ても似つかぬ別人物ではありませんか? そして全身から陰気な幽霊の如き妖しい魅力を漂わせて居る所は...
西尾正 「陳情書」
...一脈の妖氣と不氣味さが漂(たゞよ)ひます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...得も言はれぬ魅力――色つぽさとは又違つた高貴な匂ひの漂(たゞよ)ふ女でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...こういう大時化の海に漂いながら...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...夥しい漂流物に取りかこまれながら...
堀辰雄 「聖家族」
...まだ秋の夜がそこえらに漂っていた...
本庄陸男 「石狩川」
...尚も私の父は厭味な微笑を漂はせながら云つた...
牧野信一 「或る日の運動」
...それを夕闇の漂ふ裏の流れに投げ棄てゝ...
牧野信一 「〔婦人手紙範例文〕」
...絶えず私の身邊に漂つて...
水野仙子 「響」
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