...尤(もつと)もこの「静寂の外に」は芳(かんば)しい鴉片の匂の外にも死人の匂をも漂はせてゐる...
芥川龍之介 「鴉片」
...故もない微笑がチラリと口元に漂ふ...
石川啄木 「鳥影」
...このあたりには今も明治時代の異国情調が漂っていて...
海野十三 「人造人間事件」
...今にも墜(お)ちそうに低い処で漂っていました...
大阪圭吉 「デパートの絞刑吏」
...運河の遊覧船からラジオのジャズが漂い...
谷譲次 「踊る地平線」
...豊かに漂うのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...あの気味悪い苔水の下漂ふ丸太のそのそばで...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...この謎(なぞ)は解けめえ」三輪の萬七はさう言つて冷たい笑ひを頬に漂(たゞよ)はせるのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...フリーダにこれについての意見をきいてみようではありませんか」遠くのほうに漂っているようなまなざしを見せながら...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...眼に見えない淫魔が漂ってでもいるかのように...
牧逸馬 「双面獣」
...――凄惨な気が漂つてゐる...
牧野信一 「昔の歌留多」
...」あの人は鼻のあたりに擽(くすぐ)つたい笑ひを漂はせてる...
水野仙子 「脱殼」
...ひっぱりおろして漂泊させたのだと感じました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...茶褐色の醤油がダラダラと漂(ただよ)うている...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...乗り出て行くものの微笑がおだやかに漂って澄んでいた...
横光利一 「旅愁」
...漂泊の子として義經がある...
吉川英治 「折々の記」
...濃厚な脂粉の気も漂うのだが...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...足を浸すと、ぬるい湯が黄色い繊毛と共に纏わり、硫黄の香が漂う...
若杉鳥子 「浅間山麓」
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