...身の周(まわ)りに漂(ただよ)っているのだった...
海野十三 「空襲葬送曲」
...カフェの中にはなんとなく変な空気が漂(ただよ)っていることに気がついたが...
海野十三 「ゴールデン・バット事件」
...あるかなきかの明るみが右手の方から格子を通して左手の壁の上に漂うていた...
相馬泰三 「六月」
...ただ技巧的な微笑を口邊に漂はせてせつせと柴を刈つてゐるばかりで...
太宰治 「お伽草紙」
...古代の面影がどことなく漂うてゐるやうに感じる...
種田山頭火 「行乞記」
...これを大にしてはその時代々々のすさまじい潮流の中に浮きつ沈みつゝ漂つて来たさまををり/\想像して見るのであるが...
田山録弥 「手品」
...三ヶ月の漂流で腐敗して...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...暫(しばら)く漂浪の生活を続けている兄の壮太郎(そうたろう)が...
徳田秋声 「あらくれ」
...部屋にはそういうものから来る一種の匂いが漂うて...
徳田秋声 「黴」
...もう一度特色的な皮肉な微笑が漂いました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...実に芸術の崇高的厳粛性を漂はして...
萩原朔太郎 「ラヂオ漫談」
...告訴はその後もあなたの上に漂っていて...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...何ともつかぬ空ろな視線を漂わしていたが...
久生十蘭 「魔都」
...潜水艇の吹いた煙がどこからか漂ってきたようで...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「幽霊島」
...そこには黄昏(たそがれ)が漂っていた...
本庄陸男 「石狩川」
...千石船が徳川時代にグリーンランド迄漂流しつつ決して壊れてしまわなかったということを面白く思います...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...意欲のやうに烈しく流れ何をまた恐るのだらう或る時は漂漂と過ぎるもの季節の上を季節のやうに未完...
森川義信 「風」
...一列の雪の峰が雲際(うんさい)に漂渺と浮んでゐる...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
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