...これより行人稀となりて両岸の火も消え漕ぎ去る船の波も平らに月の光り水にも空にも満ちて川風に音ある時となりて清涼の気味滴る計りなり...
饗庭篁村 「良夜」
...そして其処から滴る血を吸ひ始めた...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...鶴は松露を翻して衣裳に滴る...
芥川龍之介 「文芸鑑賞講座」
...肌ぬぎて滴る汗をぬぐふは...
大町桂月 「金華山」
...巖の中より滴るしづく...
大町桂月 「冬の榛名山」
...矛の末より滴る塩積りて淤能碁呂(オノコロ)島となりしとの記事あり...
高木敏雄 「比較神話学」
...どろどろした生血(なまち)の雪に滴る有様...
永井荷風 「狐」
...壕の天井から滴る水が気味悪く時を刻む...
永井隆 「長崎の鐘」
...血の滴るような牛の生首が二つまで結え付けてあったが...
中山太郎 「穀神としての牛に関する民俗」
...水も滴るゝばかりの美しさだつた...
正岡容 「浅草燈籠」
...何処の家に筧があつて夏になると涼しい水音が滴るとか...
室生犀星 「鉄の死」
...春おそい日の永いころに筧の滴る音を書屋で聴くのはこころ憎いものである...
室生犀星 「庭をつくる人」
...その滴る水の流れ口を次第に低めにして自然に敷砂利(しきじゃり)の間を縫うてゆく趣の深さは...
室生犀星 「庭をつくる人」
...前に差し置いた大鉢には血の滴る大鯛が一匹反りかえって...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...身を切るような涙がポタポタと寝間着の膝の上に滴るばかりでした...
夢野久作 「少女地獄」
...特に眼瞼(まぶた)のあたりは滴るやうな美しさで...
若山牧水 「姉妹」
...滴る露の中に瓜の花と蜂の群とが無數に喜び躍つてゐる...
若山牧水 「樹木とその葉」
...葉は花よりも先に萌え出でて單紅色の滴るごとくに輝いてゐる...
若山牧水 「樹木とその葉」
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