...間もなく聞えるのは唯血の滴る音ばかりになつた...
アナトール・フランス Anatole France 芥川龍之介訳 「バルタザアル」
...天つ神の鋒(ほこ)から滴る潮の大和島根(やまとしまね)を凝り成して以来...
芥川龍之介 「僻見」
...その端から滴る液体が乳なのです...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...岩の間から滴る清水が顔に落ちてはひやりとさす...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「心霊の抱く金塊」
...巖の中より滴るしづく...
大町桂月 「冬の榛名山」
...どろどろした生血(なまち)の雪に滴る有様...
永井荷風 「狐」
...晩間寒雨瀟瀟として落葉に滴る...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...高木医専部長は水の滴る防空壕の中に寝せられて...
永井隆 「長崎の鐘」
...今日は姥桜(うばざくら)に水の滴るような丸髷姿(まるまげすがた)のお絹でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...朝日岳山稜の雪田から滴る...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...水の滴る音もしてゐる...
林芙美子 「多摩川」
...」松田さんは沈黙って竹の皮から滴るように紅い肉片を取って鍋に入れていた...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...今に其壁より石灰を含んだ乳樣の水が滴るを婦女詣で拜む...
南方熊楠 「人柱の話」
...」かう云ひさして爺いさんは水の滴る自分の着物を指さした...
カミイユ・ルモンニエエ Camille Lemonnier 森林太郎訳 「聖ニコラウスの夜」
...目もと口もと滴るばかりの愛嬌に艶色無類...
山本笑月 「明治世相百話」
...その滴る血を吹きつけるように叫んだ...
夢野久作 「女坑主」
...特に眼瞼(まぶた)のあたりは滴るやうな美しさで...
若山牧水 「姉妹」
...日の光を含んで滴る樣に輝いてゐる眞上の紅葉を仰ぎ...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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