...妙にこの言葉はわたしの心に滲(し)み渡った...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...たつぷり汚れものに滲み亘るわけだから...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...禿げ上つた前額(ぜんがく)に滲(し)み出る汗を無雑作に手帛(ハンカチ)で拭きとりながら...
薄田泣菫 「茶話」
...心が安まってくると寒さが身に滲みて来る...
田中貢太郎 「白い花赤い茎」
...土に滲(し)み入るように降りしきって...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...いっそうその若い心が私の心に滲(し)みとおって感じられるように思われた...
田山花袋 「『田舎教師』について」
...清冽(せいれつ)な空気が鼻腔(びこう)から頭へ滲み入ると同時に「秋」の心像が一度に意識の地平線上に湧き上がる...
寺田寅彦 「帝展を見ざるの記」
...自分の心の中から押滲んで来る力であったが...
直木三十五 「南国太平記」
...この頃の寒さに足腰の痛みにわしは憶い出すんだ忰のことがやっぱり親子のつながりだわい「お前等にもわかる時が来る」今になって彼奴の言葉が身に滲みてくる彼奴(あいつ)の云ったこと彼奴のやって来たことやっぱり貧乏人のやらねばならんことだったのだ憶い出すと身震いがする彼奴の入営した翌年春の大争議にわしら四百の小作は××川の土堤で警官と軍隊に取り巻かれた鍬が飛んだ...
長沢佑 「親父の言葉」
...又一方から見ると作者(さくしや)の愛(あい)が實際(じつさい)にその衷心(ちうしん)から滲(にじ)み出てゐる例へば「小さき者へ」の中に於ける...
南部修太郎 「三作家に就ての感想」
...何かで傷つけたらしく血が滲(にじ)んでいた...
堀辰雄 「恢復期」
...顔へ滲み出て来た...
牧逸馬 「双面獣」
...その自己に凝結する力は製作の態度から日常生活の諸相へまで滲み透っていた...
宮本百合子 「あられ笹」
...彼女のむきな調子には何か涙が滲む程切迫つまったところがあった...
宮本百合子 「或る日」
...これで自分が旅さきで千鶴子に汚点を滲ませていたなら...
横光利一 「旅愁」
...初めの悽艶な句にまで挿話の汚紋が滲みのぼって来る曇りを覚えた...
横光利一 「旅愁」
...北斗は雲に滲(にじ)んで...
吉川英治 「三国志」
...永い戦乱に滲(し)みこんだ人生観が...
吉川英治 「宮本武蔵」
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