...その滲憺たる幻影の中にも自分はまだ最後の努力をしてゐるのを心丈夫に感じつつ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...服の胸に赤く血を滲ませ...
梅崎春生 「日の果て」
...そして魚に滲(し)みている酢をスッパスッパ吸い取ってやり...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...そして魚(さかな)に滲(し)みてゐる酢をスツパスツパ吸ひ取つてやり...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...身体じゅう糠味噌(ぬかみそ)の臭(にお)いが滲(し)みこんでしまってい...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「富籤」
...何かしらしみじみと「胸」に滲み込んでくるような感じが容易には起りにくい...
寺田寅彦 「ある日の経験」
...注(さ)し薬(ぐすり)をたらして滲(し)みこませるために...
徳田秋声 「チビの魂」
...面の眉間(みけん)を少し避けたあたりにも血が滲(にじ)んでいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...所々に街灯がぼうっと滲(にじ)んで見える...
中島敦 「光と風と夢」
...けれども彼の推察は月の暈(かさ)のように細君の言外まで滲(にじ)み出した...
夏目漱石 「道草」
...懐中から『とうごらう』と赤く滲んだ半紙を取りだし...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...頭にまいたさらし木綿は滲(にじ)みでる血で褐色(かっしょく)に染まっていた...
本庄陸男 「石狩川」
...夕陽の色彩(いろどり)が西の空に滲むだ頃でした...
牧野信一 「初夏」
...まんまと奴等の体内に滲み込んでゐるのだ...
牧野信一 「冬日抄」
...痛切な現実の意識が全身に滲(し)み渡る...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...倒れた壺から草の中へ滲(し)み流(なが)れた...
横光利一 「日輪」
...多少の不安が滲(にじ)まぬでもない...
吉川英治 「私本太平記」
...水のうまさが舌に滲(し)みる...
吉川英治 「宮本武蔵」
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