...半ば凋んだ薔薇の花の熱を病んだやうな匂はわしの頭脳に滲み込んだ...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...妙にこの言葉はわたしの心に滲(し)み渡った...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...実際に於て過去は私の中に滲(し)み透り...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...乾燥した天気が長く続くと潮水は遠くまで滲み込むとのことであった...
ジョン・スノウ John Snow 水上茂樹訳 「コレラの伝染様式について」
...何遍も味わってみるとシットリと底の方から味が滲(にじ)み出してくるごとく感じられるのは...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...心が安まってくると寒さが身に滲みて来る...
田中貢太郎 「白い花赤い茎」
...涙に滲(にじ)んだ眼をあげて何の気なく西の空を眺(なが)めると...
近松秋江 「うつり香」
...踏みしめるたびに水が滲(し)み出して滑(すべ)りそうになる...
ディッケンズ Charles Dickens 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...また火山の生因として海水が地下に滲透(しんとう)し...
寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
...水の肌に滲(し)み込む気持が何とも言えぬ清々(すがすが)しさになってゆくのでありました...
中里介山 「大菩薩峠」
......
長沢佑 「貧農のうたえる詩」
...頭にまいたさらし木綿は滲(にじ)みでる血で褐色(かっしょく)に染まっていた...
本庄陸男 「石狩川」
...その自己に凝結する力は製作の態度から日常生活の諸相へまで滲み透っていた...
宮本百合子 「あられ笹」
...家庭的な細部から辛辣さを滲ませるというような癖になったら其こそ一大事です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...何しろ沖縄の音楽や踊は日々の暮しの中に滲(し)み込んでいて...
柳宗悦 「沖縄の思い出」
...砂の下からも滲(にじ)み寄せてくるのだ...
山本周五郎 「さぶ」
...ぼッと滲みでたほの明るい...
横光利一 「旅愁」
...彼女は昨夜からの涙の滲んだ絹のハンカチを香港の朝の風景に飜えして...
吉行エイスケ 「地図に出てくる男女」
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