...思ひ出し度くない言葉の数々が後から後からと意識のおもてに、滲み出して来る...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...さすがに行間に滲(にじ)み出ている...
太宰治 「ろまん燈籠」
...そこは荒壁になっていて土の崩れた壁の穴から隣の室の燈火が滲みだしたように漏れて見えた...
田中貢太郎 「蕎麦餅」
...湯が滲みて苦しいこと...
谷崎潤一郎 「刺青」
...多分山水畫のつもりだらうが墨が滲んで眞黒になり...
田畑修一郎 「盆踊り」
...しかし人生味の滲み出してゐる後半――殊に『花もなしに……』とさびしく結んだ芸術味は...
田山録弥 「尾崎紅葉とその作品」
...小動物の肉体に特殊な液体を滲透(しんとう)させて...
寺田寅彦 「自由画稿」
...グラドストーンは雪が長靴の革を滲透する特殊な力があるということを主張した...
寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」
...われわれの不安は滲み透るような新鮮さをただよわせている...
中井正一 「絵画の不安」
...ところどころ血の滲(にじ)んだ細い切れであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...肩のところに血が滲(にじ)んでいたようでした」それっきり...
中里介山 「大菩薩峠」
...今でも思ひ出すと涙が滲む...
中原中也 「亡弟」
...まるで締りの悪い噴水の蛇口を通って滲み出てくる水の一滴一滴のようなものだった...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...いましがたどちらの目から滲(にじ)み出(で)たのかも分らない熱いものが私の頬を伝うがままにさせながら...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...いってみればお石のぜんたいから滲(にじ)みでるもの...
山本周五郎 「日本婦道記」
...あまり太く線を引きすぎて、墨を滲ませたり、ぼとっと墨汁を落したり、幾たびか失敗したあとで、どうやら升屋の見取り図ができあがった...
山本周五郎 「風流太平記」
...桃色に滲(にじ)んでいた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...やっと血が滲(にじ)み出す...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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