...廊下に上る石階の直ぐ左手に腰掛けてゐた四十四五の色の黒い眉尻の下つた一見区役所の雇と云つた風な顔付に稍々(やや)滑稽味のある顔をした男が...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...同時にまた眼がしらに涙を浮べて笑いころげさせる滑稽味が欠けている...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...妙に気取ったように物を言う滑稽味のある人であった...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...なんとなく滑稽味(こっけいみ)を帯びて見える...
寺田寅彦 「柿の種」
...悪どい不快な滑稽味(こっけいみ)のほうが先に立つ...
寺田寅彦 「自由画稿」
...ことに下品(げぼん)の恋の句に一面滑稽味(こっけいみ)を帯びているのがある...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...いくらか滑稽味(こっけいみ)さえ帯びた音だけが聞こえる...
寺田寅彦 「病院の夜明けの物音」
...滑稽味のある彼は『菜園場の與八』とか『そそりの與八』(あわて者の方言)と呼ばれて人々に可愛がられた...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...彼の目はさういふ点で人間の滑稽味を...
徳田秋聲 「亡鏡花君を語る」
...滑稽味のある古文では...
中里介山 「大菩薩峠」
...滑稽味(こっけいみ)のある剥身(むきみ)に似た...
長谷川時雨 「木魚の顔」
...ただ彼の晩年の短いいくつかの物語がもつすばらしい滑稽味をおびたユーモアだけだろう...
原田義人 「「世界文学大系58 カフカ」解説」
...何とも滑稽味の豊な人ではある...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...それはすこぶる滑稽味を帯びてその着想が面白い...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...教師の動作から滑稽味を探し出すほうにあまり忙がしくて...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...私はいつも子供心に一種の滑稽味を感じさせられた...
夢野久作 「鉄鎚」
...宝生の下手が滑稽味に陥り易いのを見ても二流の主張の相違がわかる...
夢野久作 「能とは何か」
...少しは滑稽味もあるけれど...
蘭郁二郎 「地図にない島」
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