...風の生み出す音の高い不思議な沈黙がまた天と地とにみなぎり満ちる...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...潮の満ちるに従って這入って来る水なら...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...幸福な笑顔が城中に満ちるでしょう...
太宰治 「新ハムレット」
...お前は手桶に水の満ちるのをじつと立つて見てゐたぢやないか……あの時分はまだ若かつたな!』『本当にあの時は嬉しかつた...
田山録弥 「ある日」
...落ちた花は朽ち腐れて一種甘いような強い香気が小庭に満ちる...
寺田寅彦 「花物語」
...いつでも涼風が胸に満ちるような気がするのである...
寺田寅彦 「涼味数題」
...これほど魂に安らぎが充ち満ちるとは今まで思ってもみなかったのです...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...黄色を帯びた地上に満ちると...
豊島与志雄 「秋の幻」
...そうして更に無数の囁が騒然として空間に満ちる...
長塚節 「太十と其犬」
...虚空にみち満ちる北風の悲歌は...
久生十蘭 「海豹島」
...ヒアシンスや馨水仙が不断に咲き満ちると云うことであった...
「一本の花」
...よしそうでないにしろ私の心は悲しさに満ちる...
宮本百合子 「悲しめる心」
...今言ひあらはさうとする不思議な感じが胸に満ちるのである...
アルベエル・サマン Albert Samain 森林太郎訳 「クサンチス」
...手漉きの和紙はいつだとて魅力に満ちる...
柳宗悦 「和紙の美」
...遺憾なく延び満ちる姿の恐怖というものも...
横光利一 「スフィンクス(覚書)」
...湯気が満ちると、彼らの顔は赤くなって伸縮した...
横光利一 「街の底」
...これは重大な敗因と後で分ったことであるが、何者の献策(けんさく)か、暗愚な龍興は、この日より疾(と)く前から、城外へ出て戦っている将兵の妻子だの、富豪な町人の家族だの、城下の老幼男女を、城に満ちるほど、人質(ひとじち)として山へ上げてしまったのである...
吉川英治 「新書太閤記」
...「…………」胃に満ちるまで飲んでから...
吉川英治 「宮本武蔵」
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