...ヲンナの登る階段は一段一段が更に新しい焦熱氷地獄であつたからヲンナは楽しいチヨコレエトが食べたいと思はないことは困難であるけれども慈善家としてのヲンナは一と肌脱いだ積りでしかもヲンナは堪らない程息苦しいのを覚へたがこんなに迄新鮮でない慈善事業が又とあるでしようかとヲンナは一と晩中悶へ続けたけれどもヲンナは全身の持つ若干個の湿気を帯びた穿孔(例へば目其他)の附近の芥は払へないのであつた...
李箱 「狂女の告白」
...かつ万物を被う陰影によって湿気を帯びた...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...湿気を帯びた、新鮮な風がさつと吹いて来ると、ぐしよ濡れになつて突つ伏してゐたそこらの木々は、狗が身ぶるひして水を切るやうに、身体ぢうの水気を跳ね飛ばして、勢ひよく起き上りました...
薄田泣菫 「雨の日に香を燻く」
...また湿気を帯びた温かい風が森や山腹の冷たい処に触れる場合や黒潮と親潮が出会うて温かい空気と冷たい空気が混ずる場合などにも起る...
寺田寅彦 「歳時記新註」
...湿気を帯びた黴臭い室の空気の中に...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...湿気を帯びた真黒な土が処々に覗き出していた...
豊島与志雄 「二つの途」
...湿気を帯びた風が...
久生十蘭 「地底獣国」
...明け方に風が少し湿気を帯びた重い音になって村雨(むらさめ)風な雨になった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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