...男がぐっしょり湿った兵隊の古長靴(ふるながぐつ)を脱ぐのを待って...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...このスリッパは湿ったに違いない...
コナンドイル Arthur Conan Doyle 三上於莵吉訳 「株式仲買店々員」
...湿った靄(もや)のかけた泥(どろ)深い冬...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...古い十能を取上げて湿った薪(たきぎ)の上に灰をかぶせ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...ここへは人を寄せ付けないようにしたんだが――」そう言いながら左陣は湿った土の上を指しました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...やわらかな湿った雪に...
久生十蘭 「白雪姫」
...司法主任が湿った声をだした...
久生十蘭 「母子像」
...真名古は上り端(はな)へ腰をおろすと湿った調子で...
久生十蘭 「魔都」
...黴臭い湿った空気がどんよりと淀んでいて...
久生十蘭 「魔都」
...肺臓の堪えがたい圧迫――湿った土の息づまるような臭気――体にぴったりとまつわりつく屍衣(きょうかたびら)――狭い棺のかたい抱擁――絶対の夜の暗黒――圧しかぶさる海のような沈黙――眼には見えないが触知することのできる征服者蛆虫(うじむし)の出現――このようなことと...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「早すぎる埋葬」
...湿った苔(こけ)にくるんで...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...ロンドン中のベトベト湿った廃棄物を集め...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「死の土壌」
...湿ったカビの臭いがするから...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...湿った空気が澱んでいて...
牧逸馬 「生きている戦死者」
...湿った臭(におい)の沁みたような気が顔を打つ...
水野葉舟 「土淵村にての日記」
...湿ったふうで女御の御殿へ行った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...どこか湿った楽しみに耽っている眼差しである...
横光利一 「旅愁」
...霧に湿った衣を肌ぬぎにしつつ鬢(びん)の毛を乱して...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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