...また画そのものも、ただ濁った水と、湿った土と、そうしてその土に繁茂(はんも)する草木(そうもく)とを描(か)いただけだから、恐らく尋常の見物からは、文字通り一顧さえも受けなかった事であろう...
芥川龍之介 「沼地」
...路傍の湿った溝へころげ落ちた...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...湿った布をこの板の上に引きのばし...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...」と口では言いつつ声が湿った...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...両足は湿った砂利に跡を付けていった...
ジョージ・オーウェル George Orwell The Creative CAT 訳 「絞首刑」
...勝手口を廻って庭に面した書斎の窓に到るまでの所々の湿った地面の上に...
大阪圭吉 「幽霊妻」
...波頭(なみがしら)が砂浜をはい上がって引いたすぐあとの湿った細砂の表面を足で踏むと...
寺田寅彦 「夏の小半日」
...このスリッパは湿ったに違いない...
コナンドイル Arthur Conan Doyle 三上於莵吉訳 「株式仲買店々員」
...彼らはもはや、冷ややかな夜も、冷たい石も、湿った土も、ぬれた草も、感じなかった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...湿った大地の匂...
中島敦 「光と風と夢」
...湿った土を木箱に入れ...
中谷宇吉郎 「凍上の話」
...娘さんは黙ったまま湿ったようなハンカチを顔へあてて鼻をすすっている...
林芙美子 「田舎がえり」
...肺臓の堪えがたい圧迫――湿った土の息づまるような臭気――体にぴったりとまつわりつく屍衣(きょうかたびら)――狭い棺のかたい抱擁――絶対の夜の暗黒――圧しかぶさる海のような沈黙――眼には見えないが触知することのできる征服者蛆虫(うじむし)の出現――このようなことと...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「早すぎる埋葬」
...湿ったカビの臭いがするから...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...湿った空気が澱んでいて...
牧逸馬 「生きている戦死者」
...甘酸(あまず)っぱい湿った臭いを発散させて暗く押し黙って並んでいる...
牧逸馬 「女肉を料理する男」
...シトギのごとく湿った粉でよければ...
柳田国男 「木綿以前の事」
...梅雨明けの湿った空気は...
山本周五郎 「お美津簪」
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