...朝露が裾一尺ばかりを湿して草鞋はだんだん重たくなってくる...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...汗がいち早く頸のほとりを湿してくる...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...唾で繭の此処と思ふ処を湿して...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...薩摩上布の腰のあたりをべっとりと湿していた...
江戸川乱歩 「恐ろしき錯誤」
...熱湯で湿した顔ふきを持って来た...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...これを要するに現今の時代は疎枝朽幹なかば枯死せるの老樹が端なく大風のために吹き折られ、かえってその残株よりしてさらに一個の新芽を発し、雨露これを湿し、陽光これを沢し、亭々然(ていていぜん)として雲を凌(しの)ぎ、天を衝くの望みを有せしむる、もっとも前途に希望あるの時代となれり...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...うめえ肴(さかな)があるから一口湿してみてはどうだい」「俺(おい)らは酒は飲めねえんだ」と米友は断わりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...歌口を湿してみましたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...多勢の人足が湿しておるところだったのです...
野村胡堂 「十字架観音」
...焼跡を湿している鳶(とび)の者とがごった返しております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...牛乳と卵とで湿してやるといいや...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...湿した唇を咥(くわ)え...
本庄陸男 「石狩川」
...白髪の髷(まげ)を水で湿し...
牧逸馬 「ヤトラカン・サミ博士の椅子」
...まだ頭の湿しんが快癒しないので...
宮本百合子 「獄中への手紙」
......
室生犀星 「愛の詩集」
...それから薬湯(やくとう)で口を湿してやった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...打水で湿した平目の石に夕闇が降りていた...
横光利一 「旅愁」
...ここに刀の目釘を湿して待つ者ありとも知らずに...
吉川英治 「剣難女難」
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