...』するとお爺(じい)さんは満足(まんぞく)らしい微笑(びしょう)を老顔(ろうがん)に湛(たた)へて...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...路(みち)近い農家の背戸に牡丹の緋に咲いて蕋(しべ)の香に黄色い雲の色を湛(たた)えたのに...
泉鏡花 「遺稿」
...禮なき事は幾重にも赦してよ」と詞は少ないが其云ふ心には無量の深さを湛へて居る...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...しかも満面に懐かしそうな微笑を湛(たた)えて...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...しかし諦(あきら)め切ったように淋しい微笑を湛(たた)えて頭を振られた...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...その慈眼には子弟を愛する温情があふれるほど湛へられてゐたのに...
辰野隆 「浜尾新先生」
...寡婦の夫人は愛嬌(あいきょう)を湛えて舅(しゅうと)を迎えた...
田中貢太郎 「悪僧」
...紺青(こんじょう)を湛(たた)えたような海には...
田中貢太郎 「宇賀長者物語」
...翠緑滴るばかりなる丘と丘との間に漂茫たる入江を湛えさせ...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...仄かな明るみが大気のうちに湛えていた...
豊島与志雄 「蘇生」
...曇り日らしい薄明りが空の中に湛え...
豊島与志雄 「南さんの恋人」
...昔ながらの面影を湛へてゐるやうであつた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...木造建の粗末な二階の壁はひっそりとした光線を湛えていた...
原民喜 「夢と人生」
...その中にあふれるばかりの水をひっそりと湛(たた)えていた...
久生十蘭 「地底獣国」
...」にわかに明るい微笑を湛えて戻つて来た冬子は樽野が当惑したのも気づかずに手早く簾を巻きあげると悉くの障子を一勢にあけ放した...
牧野信一 「鶴がゐた家」
...異様な冷たさを湛へた不意の新しい血潮が激しい勢ひで身内を流れはじめたかのやうな変な震えを覚えた...
牧野信一 「南風譜」
...目に涙を湛(たた)えている...
森鴎外 「魚玄機」
...隠れてしまったもんで……」葛岡氏は笑(え)みを湛えた...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
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