...ひっそりと湛(たた)えた水の上へ鮮(あざや)かに影を落している...
芥川龍之介 「少年」
...晴乎(ぱつちり)とした眼に柔かな光を湛へて...
石川啄木 「二筋の血」
...満々と水を湛える...
泉鏡花 「海の使者」
...一句一句の端にも湛うてる...
伊藤左千夫 「歌の潤い」
...」と言つて涙を湛へてゐた...
小穴隆一 「二つの繪」
...ゆったりした頬(ほお)に愛嬌を湛えて...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...うま酒を三輪の祝(はふり)のいはふ杉てふりし罪か君にあひがたきとある――また古事記の祭神の子が活玉依姫(いくたまよりひめ)に通(かよ)ったとある――甘美にして古雅な味が古くから湛(たた)えられているということは...
中里介山 「大菩薩峠」
...この川が鴨川そっくりの情趣を湛(たた)えていないではない...
中里介山 「大菩薩峠」
...「湛空(たんぐう)」と答えると...
中里介山 「法然行伝」
...溢(あふ)れる滋味を湛(たた)えて...
野村胡堂 「楽聖物語」
...下卑(げび)た薄笑いを湛えて...
火野葦平 「糞尿譚」
...やがて満面に笑を湛(たた)えて...
穂積陳重 「法窓夜話」
...明るい櫟林にとり囲まれた擂鉢形の底に円く蒼い水を湛へてゐる...
牧野信一 「沼辺より」
...いつも眼に微笑を湛えているという感じだった...
山本周五郎 「末っ子」
...夏でも指のこごえるほど冷たい水を湛えて屋敷の内をよこぎっていた...
山本周五郎 「泥棒と若殿」
...いつも瞠(みは)っているような大きな眸子(ひとみ)も澄みとおるほどしずかな光を湛えていた...
山本周五郎 「日本婦道記」
...それから深い光を湛えている静かな...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...ただ判じのつくのは武者修行の眼だ――死なんとするのを知っているその眼である――血ばしっている中に涙腺はかすかに涙みたいなものを湛(たた)えている...
吉川英治 「宮本武蔵」
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