...湖心寂然として人世以外に別天地の意味を湛(たた)えている...
伊藤左千夫 「春の潮」
...その青空といふのは久しく見ることが出來無かつた深碧な色を湛へた...
高濱虚子 「二百二十日」
...翠緑滴るばかりなる丘と丘との間に漂茫たる入江を湛えさせ...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...・雑草に夜明けの月があるしづけさ・笹のそよぎも梅雨らしい雨がふりだしたあたゝかく日がさすところよい石がある・五月の海は満ちて湛へて大きな船故郷にて・螢ちらほらおもひだすことも六月十五日晴れたり曇つたり...
種田山頭火 「其中日記」
......
峠三吉 「原爆詩集」
...妖気を湛えてるようでした...
豊島与志雄 「乾杯」
...満潮の折には水が深々と寂寥を湛える...
豊島与志雄 「幻覚記」
...高山(こうざん)にはよくさういふ凹地(くぼち)に水(みづ)を湛(たゝ)へて...
本多靜六 「森林と樹木と動物」
...常に円満な微笑を湛へた呑気さうな山番は...
牧野信一 「祝福された星の歌」
...」年寄が人の好い微笑を湛へながら斯う云ふと...
牧野信一 「砂浜」
...沼の水はときどき静かな波を風のまにまに湛(たた)えるほかは...
室生犀星 「寂しき魚」
...顔には穏やかな色を湛えたまま...
山本周五郎 「落ち梅記」
...眼にみえぬ手ではたかれでもしたようにふいと硯海(けんかい)に湛えた墨の上へおち...
山本周五郎 「日本婦道記」
...いたる所に人を湛えて群れている...
横光利一 「欧洲紀行」
...その上に父の骨がほのかな曙色を裡に湛えた燠の姿で並んで来た...
横光利一 「旅愁」
...宗湛もすぐそこで旅装をととのえた...
吉川英治 「新書太閤記」
...この湛空の信心と...
吉川英治 「親鸞」
...そして其処に今までのいづれよりも深く湛へた静かな湖があつた...
若山牧水 「木枯紀行」
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