...その足もとまで湛へ寄せたるを知らむには...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...その青空といふのは久しく見ることが出來無かつた深碧な色を湛へた...
高濱虚子 「二百二十日」
...振りかへつてみると箱根の湖は樹間に小さくいぢらしげに碧水を湛へてゐるのが眼下に見えました...
太宰治 「右大臣実朝」
...その眼の縁には涙をさめざめと湛(たた)えながら...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...大胆な表情を湛(たた)え...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...全く、不思議のやうだけれども、押入の奥の薄暗い中でギラ/\光つてゐるその眼は、最早(もは)やあのいたづらな仔猫の眼ではなくなつて、たつた今の瞬間に、何とも云へない媚(こ)びと、色気(いろけ)と、哀愁とを湛へた、一人前の雌の眼になつてゐたのであつた...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...戸外には深々と闇が湛えているきりだった...
豊島与志雄 「囚われ人」
...満足げな微笑を湛えながら鷹揚(おうよう)に頷(うなず)く...
中島敦 「南島譚」
...ニコニコ遜(へりくだ)った微笑を湛(たた)えながら...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...雪どけ水を湛(たた)えたイシカリ川が...
本庄陸男 「石狩川」
...大写しになつた百合子の不思議な艶かしさを湛へた姿が...
牧野信一 「南風譜」
...胸は溺れるように危い心を湛えているのを覆すまいとしながらも...
横光利一 「旅愁」
...はや涙さえ湛(たた)え...
吉川英治 「新書太閤記」
...逆境いよいよその人の深い所の素質をゆかしく湛(たた)えて見せ...
吉川英治 「新書太閤記」
...十分な同情を眼に湛えながら...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...女には測り難いものを深く湛えて...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...そして苦笑を湛(たた)えながら...
吉川英治 「柳生月影抄」
...かぎりもない幸福が自然といふ自然のなかに湛へられてゐるであらう...
吉田絃二郎 「沈黙の扉」
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