...ひた/\と湛(たた)へて居た...
泉鏡花 「雨ばけ」
...信仰の浄い葡萄酒を湛へた...
マルセル・シュヲブ Marcel Schwob 上田敏訳 「法王の祈祷」
...「俺の画は死ねば値が出る」と傲語(ごうご)した椿岳は苔下(たいか)に会心の微笑を湛(たた)えつつ...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...昼間見れば真黒な溝泥(どぶどろ)の水を湛えた汚い水面が...
海野十三 「深夜の市長」
...大粒な黒眼に激しい潤(うるお)いを湛えて...
大阪圭吉 「死の快走船」
...「歸依(きえ)」の掬むなる常若(とこわか)の生命湛ひぬ...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...またその岩盤のところどころが丸く窪んで海水を湛へ...
太宰治 「津軽」
...かなりな幅の川浪(かわなみ)が漫々と湛(たた)えていた...
徳田秋声 「仮装人物」
...眼には澄んだ奥深い光を湛えていたが...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...満潮の折には水が深々と寂寥を湛える...
豊島与志雄 「幻覚記」
...彼女が口元に薄ら笑いを湛えてるのを見て...
豊島与志雄 「反抗」
...一杯に水を湛へた盃を右肱の上に載せて剛弓を引くに...
中島敦 「名人傳」
...顔はいつのまにか廿代の艶を湛へてゐた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...涙に似たものを湛へてゐた...
牧野信一 「鱗雲」
...夜露を湛へた露草のやうに沾(うる)んでゐました...
牧野信一 「蛍」
...しかも軽いところのない適度の重さを湛えて...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...水を湛え田を作りれんげ草を蒔き...
柳田国男 「雪国の春」
...宗湛の姿を見ると...
吉川英治 「新書太閤記」
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