...ひっそりと湛(たた)えた水の上へ鮮(あざや)かに影を落している...
芥川龍之介 「少年」
...その下に水が小し濁りを帯びて青黒く湛へて居る所に多分鮠であらう...
安倍能成 「初旅の残像」
...志願兵の眼が冷たい皮肉な笑ひを湛へて彼を迎へた...
新井紀一 「怒れる高村軍曹」
...中に泉水を湛(たた)えた状(さま)に...
泉鏡花 「悪獣篇」
...路(みち)近い農家の背戸に牡丹の緋に咲いて蕋(しべ)の香に黄色い雲の色を湛(たた)えたのに...
泉鏡花 「遺稿」
...とこしへに精神の愛に飢ゑたる放縱生活の悲愁こゝに湛へられ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...大空は微笑を湛へて...
薄田泣菫 「森の声」
...濃い藍色を湛えて居る日であった...
谷崎潤一郎 「恐怖」
...あたたかく澄んで湛へてゐる...
種田山頭火 「其中日記」
...こん/\と湧いてなみ/\と湛へてそしてどし/\溢れる温泉のあたゝかさ...
種田山頭火 「旅日記」
...深く水を湛へた或る巖蔭で...
中島敦 「環礁」
...不動堂の本尊が運慶とか湛慶(たんけい)とかの作で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...不思議やセエラは血色のいい顔に微笑を湛え...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...天と地の底なしの明るみを湛えた空洞の無音状態に耳をそばだてながら...
牧野信一 「心象風景」
...高く湛えた海の上へ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...あのときのような伏眼な瞼の影を湛えて考えるにちがいない...
横光利一 「旅愁」
...其れに湖は未(ま)だ凍らずに好(い)い御納戸(おなんど)色を湛(たゝ)へ...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...各がその面上にも湛(たた)えていた...
吉川英治 「新書太閤記」
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