...温雅なる淑女の様(さま)は我得んと欲して得る能わず...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...いかにも大和絵(やまとえ)にありそうな温雅で平和な眺望なのである...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...主に彼の温雅な人柄と...
寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」
...まず第一楽章六句はおのずから温雅で重厚な気分に統一されている場合が多いようである...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...されば春信の板画は過去の粗大と将来の繊細との中間に立ちて独(ひと)り温雅優美の情を恣(ほしいまま)にするものといふべきなり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...而シテ東山ノ清秀温雅ニシテ峻ナラズ峭ナラズ望ンデ愛ス可ク登テ樂ム可キガ若キ者ハ世ニ其匹ヲ罕トス...
永井荷風 「十年振」
...本当の諷刺や、皮肉は、自然にして、温雅にして、同情があって、洞察があって、世間の酸(す)いも甘いもかみ分けて、それを面(かお)にも現わさず、痒(かゆ)いところへ手が届きながら掻(か)かず、そうしてその利(き)き目が、時間がたつほど深刻に、巧妙に現われて来るものだが……本当の諷刺家がいないのは、つまり本当の批評家がいないのだ、というような議論になって、蚊一つの問題から、炉辺が異常なる緊張を示したのも、時にとっての一興でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...一(いつ)は温雅にして沈痛...
中里介山 「大菩薩峠」
...義兄の深切で嫁(とつ)ぐまでをその家でおくることになったが、姉夫婦は鄙少女(ひなおとめ)の正子を都の娘に仕立(したて)ることを早速にとりかかり、気の強い彼女を、温雅な娘にして、世間並みに通用するようにと、戸板裁縫女学校を選(え)らまれた...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...温雅といった方がよかった...
火野葦平 「花と龍」
...但し其これを議論するに声色を温雅にするは上流社会の態度に於て自然に然る可し...
福沢諭吉 「女大学評論」
...形態への空虚な厳格な奉仕の中にあるあの温雅な態度を...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...春風のような温雅な和気につつまれる...
吉川英治 「剣の四君子」
...覇気熱情(はきねつじょう)も日頃は温雅典麗(おんがてんれい)な貴人の風につつまれている...
吉川英治 「三国志」
...貞淑温雅(ていしゅくおんが)で...
吉川英治 「三国志」
...その性は寛弘温雅(かんこうおんが)...
吉川英治 「三国志」
...温雅なお人だ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...この半禿頭の温雅な先生は授業熱心で生徒によく慕われていた...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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