...温雅なる淑女の様(さま)は我得んと欲して得る能わず...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...草木花鳥の色彩は濃厚であってしかも温雅(熱帯地方で見るような強烈でしかも単純な色ではなく...
高浜虚子 「俳句への道」
...温雅淡白よりも豊艶爛熟を喜ぶ白秋氏...
種田山頭火 「夜長ノート」
...若先生も典型的な温雅の紳士で...
寺田寅彦 「追憶の医師達」
...まず第一楽章六句はおのずから温雅で重厚な気分に統一されている場合が多いようである...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...而シテ東山ノ清秀温雅ニシテ峻ナラズ峭ナラズ望ンデ愛ス可ク登テ樂ム可キガ若キ者ハ世ニ其匹ヲ罕トス...
永井荷風 「十年振」
...我々でお能の催しでもしようではないかという温雅な説も出て来ました...
中里介山 「大菩薩峠」
...本当の諷刺や、皮肉は、自然にして、温雅にして、同情があって、洞察があって、世間の酸(す)いも甘いもかみ分けて、それを面(かお)にも現わさず、痒(かゆ)いところへ手が届きながら掻(か)かず、そうしてその利(き)き目が、時間がたつほど深刻に、巧妙に現われて来るものだが……本当の諷刺家がいないのは、つまり本当の批評家がいないのだ、というような議論になって、蚊一つの問題から、炉辺が異常なる緊張を示したのも、時にとっての一興でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...その温雅な人格の反影とも言うべき...
野村胡堂 「楽聖物語」
...玉を刻んだような冷澄な顔立ちや温雅な立(たち)い振舞...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...どの作のどの女(ひと)を見ても、幽艶、温雅、誠実、艶美、貞淑の化身(けしん)であり、所有者でありながら、そのいずれにも何かしら作者の持っていたものを隠している...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...温雅といった方がよかった...
火野葦平 「花と龍」
...世にもめずらしい善良温雅な婦人が佇(たたず)んでいた...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...形態への空虚な厳格な奉仕の中にあるあの温雅な態度を...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...私はこういう親切で温雅な...
横光利一 「欧洲紀行」
...何もかも知り尽した温雅で善良で快活そうな老紳士である...
横光利一 「欧洲紀行」
...温雅で東洋的な老畫人である...
吉川英治 「折々の記」
...けれど温雅な田園畫家の高士と...
吉川英治 「折々の記」
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