...女学校出とは思はれぬ様な温雅(しとや)かな娘で...
石川啄木 「札幌」
...温雅なる淑女の様(さま)は我得んと欲して得る能わず...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...わが民族精神の醇美とわが風物の温雅を紹介し...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...されば春信の板画は過去の粗大と将来の繊細との中間に立ちて独(ひと)り温雅優美の情を恣(ほしいまま)にするものといふべきなり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...而シテ東山ノ清秀温雅ニシテ峻ナラズ峭ナラズ望ンデ愛ス可ク登テ樂ム可キガ若キ者ハ世ニ其匹ヲ罕トス...
永井荷風 「十年振」
...我々でお能の催しでもしようではないかという温雅な説も出て来ました...
中里介山 「大菩薩峠」
...女長じて容姿温雅...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...その温雅な人格の反影とも言うべき...
野村胡堂 「楽聖物語」
...玉を刻んだような冷澄な顔立ちや温雅な立(たち)い振舞...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...感じのよい温雅の色合を帶びて見える...
萩原朔太郎 「宿命」
...どの作のどの女(ひと)を見ても、幽艶、温雅、誠実、艶美、貞淑の化身(けしん)であり、所有者でありながら、そのいずれにも何かしら作者の持っていたものを隠している...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...義兄の深切で嫁(とつ)ぐまでをその家でおくることになったが、姉夫婦は鄙少女(ひなおとめ)の正子を都の娘に仕立(したて)ることを早速にとりかかり、気の強い彼女を、温雅な娘にして、世間並みに通用するようにと、戸板裁縫女学校を選(え)らまれた...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...形態への空虚な厳格な奉仕の中にあるあの温雅な態度を...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...温雅にして同情に充(み)ちたるものでなくなったことは...
柳田国男 「木綿以前の事」
...けれど温雅な田園畫家の高士と...
吉川英治 「折々の記」
...覇気熱情(はきねつじょう)も日頃は温雅典麗(おんがてんれい)な貴人の風につつまれている...
吉川英治 「三国志」
...人いちばい好学温雅なるために...
吉川英治 「新書太閤記」
...温雅なお人だ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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