...いかにも大和絵(やまとえ)にありそうな温雅で平和な眺望なのである...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...而シテ東山ノ清秀温雅ニシテ峻ナラズ峭ナラズ望ンデ愛ス可ク登テ樂ム可キガ若キ者ハ世ニ其匹ヲ罕トス...
永井荷風 「十年振」
...本当の諷刺や、皮肉は、自然にして、温雅にして、同情があって、洞察があって、世間の酸(す)いも甘いもかみ分けて、それを面(かお)にも現わさず、痒(かゆ)いところへ手が届きながら掻(か)かず、そうしてその利(き)き目が、時間がたつほど深刻に、巧妙に現われて来るものだが……本当の諷刺家がいないのは、つまり本当の批評家がいないのだ、というような議論になって、蚊一つの問題から、炉辺が異常なる緊張を示したのも、時にとっての一興でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...一(いつ)は温雅にして沈痛...
中里介山 「大菩薩峠」
...その温雅な美しいながめに於て大菩薩に来るほどの人を心酔せしめる処のものであります...
中里介山 「山道」
...女長じて容姿温雅...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...義兄の深切で嫁(とつ)ぐまでをその家でおくることになったが、姉夫婦は鄙少女(ひなおとめ)の正子を都の娘に仕立(したて)ることを早速にとりかかり、気の強い彼女を、温雅な娘にして、世間並みに通用するようにと、戸板裁縫女学校を選(え)らまれた...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...温雅優麗な貴公子を父として...
長谷川時雨 「柳原※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子(白蓮)」
...世にもめずらしい善良温雅な婦人が佇(たたず)んでいた...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...但し其これを議論するに声色を温雅にするは上流社会の態度に於て自然に然る可し...
福沢諭吉 「女大学評論」
...高貴の生れであるために温雅沈着なのではなく...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...そうしてこんどは温雅な...
山本周五郎 「百足ちがい」
...何もかも知り尽した温雅で善良で快活そうな老紳士である...
横光利一 「欧洲紀行」
...けれど温雅な田園畫家の高士と...
吉川英治 「折々の記」
...その性は寛弘温雅(かんこうおんが)...
吉川英治 「三国志」
...相手の温雅淳朴(おんがじゅんぼく)なすがたを見て...
吉川英治 「新書太閤記」
...人いちばい好学温雅なるために...
吉川英治 「新書太閤記」
...温雅なお人だ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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