...腹を温める一方ですな...
芥川龍之介 「お律と子等と」
...前者には溌剌として手答のある反應が缺け、後者には包むやうな、温めるやうな、柔かさが缺けてゐた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...この地上の熱や光りではとても温めることも出来ず...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...老女(手を温める)そとはひどい風だ...
ウイリヤム・バトラ・イエーツ 松村みね子訳 「カスリイン・ニ・フウリハン(一幕)」
...風はこんどは颶風(ぐふう)となって吹いてきた――まだ眠ってる寒がりの大地を熱い息で温める春の南風...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...お手を温めるのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兄にとつて病多い人生がカラリと晴れ上つて兄の肉体を温めるであらう...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...死んだらもっと痛いのかなと思ひながら炬燵で足を温める...
原民喜 「焔」
...誇りの輝きがそれを温める...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...コーヒーを温めるための薪(まき)を借りてきた...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...繃帯は白い 小ぢんまりした丸顔でチョコンと坐つて居る丈夫なとき働いてゐるときすつかり忘れられて繃帯よお前は戸棚の隅に転げて居るああ しかし俺が傷つき痛んだとき繃帯よお前はぐるぐる伸びて疼く患部を優しく包み温める俺の唯一の保護者である繃帯の長さは誰でも計れるだらうだが俺は現在(いま)計れぬ深い繃帯の愛情を感謝してゐる 浸つてゐるこれは昭和九年の冬...
北條民雄 「癩院記録」
...中の火気は上の小孔(こあな)より上昇する外少しも散らないで鍋を四方より温める...
村井弦斎 「食道楽」
...奥テル子ではどうにも牛乳すら温めることが出来ないではないかと私は言った...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...一寸火に掛けて温める...
カミイユ・ルモンニエエ Camille Lemonnier 森林太郎訳 「聖ニコラウスの夜」
...欲しいときには足と胃とを温めるための毛布を貰う...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それは人間の生活そのものを深め温める日々の伴侶でした...
柳宗悦 「民藝の性質」
...旧交を温めることになった...
柳田国男 「故郷七十年」
...酒を温める用途にもう少し早くから行われていたかも知れぬが...
柳田国男 「木綿以前の事」
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