...丁坊の身体こそは温い毛皮で手も足も出ないように包まれているけれど...
海野十三 「大空魔艦」
...塩田検事正の取計いで彼のまだ生温い屍体はドクトル鴨下の待っていた寝台自動車のなかに搬びいれられた...
海野十三 「蠅男」
...屍体の腋下(えきか)にのこる生(な)ま温い体温や...
海野十三 「麻雀殺人事件」
...失礼ながら予防命令というような生温い御処置で役所の方々は満足な解決ができるとお思いなのですか...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...今まで冷めたく自分を取卷いてゐた藝術境から脱けて出てその戀人と温い家庭を持たうとした...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...温い息もと絶えたような冷たいものを私ははっきり彼女のうちに感ずることが出来たのである...
豊島与志雄 「運命のままに」
...すべてを巻き込まんとする虚偽粉飾の生温い空気...
序 豊島与志雄 「ジャン・クリストフ」
...どんな人の心にも屹度ある方面から見れば温い柔い部分があると私は信じますね...
豊島与志雄 「囚われ」
...聞けば聞くほど生温い...
中里介山 「大菩薩峠」
...それは大層やさしい温い心を奥に湛(たた)へてゐた...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...親分さん」それから温いお茶を呑んで...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...失踪なぞと生温いことせずに...
久生十蘭 「湖畔」
...みな比較的に温い夏の間だけのものにすぎないのである...
久生十蘭 「南極記」
...何れも温い記憶となって...
松永延造 「ラ氏の笛」
...それをまた木鉢へ移してメリケン粉を一握りほど振かけて以前のように布巾をかけて今の通りな温い処へ二時間置くと大層膨れて柔くなっていますから再び板の上へ取って打粉(うちこ)代りにメリケン粉を振かけてモー一度十分間もでっちるとちょうどいい柔かさの物が出来ます...
村井弦斎 「食道楽」
...揺れ変って来た芒の葉の向うから生温い夜風が吹いていた...
横光利一 「旅愁」
...二人は温い日当りをよつて散歩に出たのだが...
淀野隆三 「横光さんと梶井君」
...毛の深い温い帽子である...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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