...渦巻きが三つあるようですぜ」「僕にもそう見えるんだ...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...渦巻き濁った蒸(む)れ臭い方へと...
豊島与志雄 「悪夢」
......
中谷宇吉郎 「赤倉」
...ただ一色の渦巻き疾走する白い雪の煙ばかりであった...
本庄陸男 「石狩川」
...何処に何んな風波が渦巻き...
牧野信一 「R漁場と都の酒場で」
...そして合唱の渦巻きで大変な騒ぎであつた...
牧野信一 「ゾイラス」
...夢見るやうな眼をそろへて光りの渦巻きを見降してゐた...
牧野信一 「南風譜」
...「長崎屋どの! 三郎兵衛どの! この広海屋一家に対して、どのようなお恨みを持っておいでかは知りませぬが、あの子には罪はない! あの子が、悪さをする筈がない! あの子をお返しなすって下さいまし、家も惜しくはありませぬ! この、わたしが、殺されようと、助かろうと、それもかまいませぬ! あの子だけを、お返し下さいまし!」「は、は、は! 泣きおるわ! わめきおるわ! うらみがあったら、そこにおる広海屋に言え! 亭主に言え!」と、こんな言葉だけは、すじが立つことをいって、長崎屋は、ふたたび、ゲラゲラ笑いになって、目をあげて、闇空を焦す炎が、大波のように、渦巻き、崩れ、盛り上り、なびき伏し、万態の変化の妙をつくしつつ、果しもなく、金砂子(きんすなご)を八方に撒き散らすのを眺めながら、「ほほう、ほほう、黄金の粉が、空一めんにひろがって行くぞ! 広海屋、見ろ、おぬし一代の栄華、贅沢(ぜいたく)――日本一の見物(みもの)じゃぞ! すばらしいのう! これを見ながら一ぱいはどうじゃ! 酒を持って来い! は、は、酒肴(しゅこう)の用意をととのえろ! ほほう! ほほう! 何ともいえぬ眺めじゃなあ」「おのれ、何をぬかすぞ! それ、この人殺し、火つけの罪人、早う、お役人を呼んで――」と、番頭の一人が、手代どもにいうのを、フッと、何か、思い当ったような広海屋、狂奮の中にも、キラリと、狡く目をはたらかせて、「待った! お役人衆に、このことを、お知らせするのは、まあ、待った!」「じゃと、申して、みすみす、この科人(とがにん)を――」「待てと言ったら!」と、止めて広海屋は、手鉤(てかぎ)を持った出入りの鳶(とび)に、「おぬし達、この長崎屋を、くくり上げて、ソッと、土蔵の中へ、入れて置いてほしい」「でも、お役人のお叱りをうけては――」「よいと申したら――気が昂ぶっているによって、落ちついてから、わしが、必ず自首させる――さあ、あまり、人目に立たぬうち――」広海屋はセカセカしくいった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...灰神楽(はいかぐら)がドッと渦巻き起って部屋中が真白になった...
夢野久作 「骸骨の黒穂」
...渦巻き散る様々の雑音...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...濛々(もうもう)とした土煙がゆるゆると渦巻きながら這込み始めて...
夢野久作 「斜坑」
...あとからあとから耳の穴に渦巻き込む...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...倒錯観念の渦巻きのゴチャゴチャだけしか感じられない……かも知れないというのが...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...倒錯観念の渦巻きを渦巻かせているか...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...頭は蓬々(ほうほう)と渦巻き縮れて...
夢野久作 「笑う唖女」
...カルメンのように顳のカールを渦巻き形にしたイタリアの女は...
横光利一 「旅愁」
...この地の市会は二士族の勢力の渦巻きを絶えず描いて...
横光利一 「旅愁」
...たちまち、敵軍の一角で、わめく声、吠えあう声、噛みつくような声が、剣槍のひびきと共に、雪唸(ゆきうな)りを交(ま)ぜて、渦巻きはじめた...
吉川英治 「新書太閤記」
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