...私は咽喉(のど)の渇きに苦しめられかけて来た...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...あゝ夕雲のかけりゆく空のあなたぞなつかしき心の渇きとゞむべきそこに生命(いのち)の川あらむ眞理のかどを開くべきそこに秘密(ひみつ)の鍵あらむ...
土井晩翠 「天地有情」
...ひかりが掛布の皺を打つたとき寝台はあまりに金の唸きであつた寝台はいきれたつ犬の巣箱の罪をのり超え大空の堅い眼の下に幅びろの青葉をあつめ棄てられた藁の熱を吸ひたちのぼる巷の中に青ぐろい額の上にむらがる蠅のうなりの中に寝台はのど渇き求めたのに求めたのに枯れた葦の葉が短かいので母親は煎薬を煎じに行つた...
富永太郎 「焦燥」
...喉の渇きが甚しかったのである...
豊島与志雄 「ヒロシマの声」
...三ツの眼が烈しい渇きを訴えて...
中里介山 「大菩薩峠」
...魂の渇きに水をあたへ...
萩原朔太郎 「流行歌曲について」
...太陽の直射と極度の渇きのせいでみな耗弱状態になり...
久生十蘭 「海難記」
...岡は喉の渇きを苦しさうにして...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...灰のように渇き熱していた口がどうしてこんなに涼しくなったのだろう...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...物質と精神の渇きあがった苦しさを感じているとき...
宮本百合子 「新しい抵抗について」
...成程これは渇きをとめるし...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...おのれまたとしつき飢ゑ渇きたるおのれがこころひとつをやしなはんとて...
三好達治 「朝菜集」
...彼女飢え渇きてウェヌスの賜(たまもの)を捉え...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...あたかも喉(のど)渇きてレテなる眠りの水を飲みたるがごとく...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...昌平は独りで、空腹と渇きと、酔のさめてくる寒さとに震えていた...
山本周五郎 「七日七夜」
...見ず知らずの家で冷やかされるのとまた違って、耳が鳴り、口が渇き、この間の辛抱は何ともいえない...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...渇き切つた咽喉を通つて行くその不味(まづさ)加減と云つたら無い...
若山牧水 「一家」
...咽喉も渇き、腹も空いてゐた...
若山牧水 「岬の端」
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