...葉子の心は月の光で清められたかと見えた...
有島武郎 「或る女」
...それで泡はすつかり清められたのだ...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...磨き清められた室内は乱暴狼籍を極めて...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...一昨日(おととい)の豪雨に洗い清められた四囲の景色が...
近松秋江 「狂乱」
...同会社の煙突から出る煤煙は十分な設備によって清められたものであって...
寺田寅彦 「話の種」
...塵埃にくすぶった草木の葉が洗われて美しい濃緑に返るのを見ると自分の脳の濁りも一緒に洗い清められたような心持がする...
寺田寅彦 「やもり物語」
...雨に清められた夜の空気が胸に染み込んでくるような気がした...
豊島与志雄 「球突場の一隅」
...河岸(かし)通りは暴風に吹き清められたように...
豊島与志雄 「反抗」
...掃き清められた広い刑場の奥手には白衣を着た女達がずらりと髪の毛を木の釘にくゝりつけられた儘だらんとぶらさげられてゐる...
長與善郎 「青銅の基督」
...」炉にあか/\と焚かれた火の余燼が綺麗に掃き清められた小屋の中をほんのりと温く照らした...
長與善郎 「青銅の基督」
...そして一同は洗い清められたやうな顔つきで席を立ったが...
原民喜 「奇蹟」
...何もかも洗い清められた空気のなかに溶け込んでゆくようで天空のかなたにひらひらと舞いのぼる転身の幻を描きつづけた...
原民喜 「死のなかの風景」
...清められたすばらしい気分を味わいながら...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...塵(ちり)一つのこさずに掃き清められた...
室生犀星 「津の国人」
...彼の霊魂のように非常に清められた霊魂...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...贖罪(しょくざい)の犠牲をしたものとして完全に清められた後...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いま清められた手を見ようとして...
山本周五郎 「菊千代抄」
...彼は汚い足を洗ひ清められたやうな朗かな気持ちになつた...
横光利一 「火の点いた煙草」
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