...「ほんとに深切な御方っちゃアありません...
泉鏡花 「活人形」
...どうかしてるぜ、憑(つき)ものがしたようだ、怪我(けが)をしはしないか、と深切なのは、うしろを通して立ったまま見送ったそうである...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...その人が貧民――というのは彼自身を意味したのである――に深切であるといってわたしにむかって同じ一人の町民をほめた...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...まつたくの深切から浦島にそれを言つたのだ...
太宰治 「お伽草紙」
...道を訊ねる、答へる人の人間的価値がよく解る、今日も度々道を訊ねたが、中年の馬車挽さんは落第、若い行商人は満点だつた、教へるならば、深切に、人情味のある答を望むのは無理かな...
種田山頭火 「行乞記」
...深切に案内して下さつた...
種田山頭火 「道中記」
...――非常に深切に話された...
チェスタートン 直木三十五訳 「金の十字架の呪い」
...ほん深切にしてくりゃはりますよって」「二...
近松秋江 「狂乱」
...先輩らしく深切であつた...
坪内逍遙 「斎藤緑雨と内田不知菴」
...くれぐれもあなたの深切(しんせつ)を嬉しいと思います...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...兄弟ガ御深切ハ有難ウゴザイマスガ(これが有難くなくてなるものか)今度ハ燈心デデモオコシラエナサレバイイニ...
中里介山 「大菩薩峠」
...「何もかも見抜いても、多賀屋勘兵衛の悪巧みだけは見抜けなかったじゃないか」「何?」「言ってやろう、――その多賀屋勘兵衛は、今から十年前、死にかけている俺の父親を騙し、深切ごかしに、仲屋の身上をみんな取上げてしまった大悪党だ」「嘘だ」勘兵衛は不意に呶鳴(どな)りました、よく光る頭から、ポッポッと湯気が立っております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...こんなに深切にされるとは想像もしたことはなかつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...詳(くは)しく話して見るが宜い」平次の調子は柔かで深切でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...義兄の深切で嫁(とつ)ぐまでをその家でおくることになったが...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...即ち双方の胸に一物(いちもつ)あることにして、其一物は固より悪事ならざるのみか、真実の深切、誠意誠心の塊にても、既に隠すとありては双方共に常に釈然たるを得ず、之を彼の骨肉の親子が無遠慮に思う所を述べて、双方の間に行違もあり誤解もありて、親に叱られ子に咎められながら、果ては唯一場の笑に附して根もなく葉もなく、依然たる親子の情を害することなきものに比すれば、迚(とて)も同年の論に非ず...
福沢諭吉 「新女大学」
...何だかだんだんあの方の御深切がお口ほどでもないように思われてくる一方で...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...さうして私達に今も師弟の礼を取つて深切にして下さるのを勿体ない事に感じた...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
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