...静かに涼しさを守つてゐる...
芥川龍之介 「好色」
...黒姫おろしが涼しさに過ぎた...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...牡丹花(ぼたんか)の雨なやましく晴れんとす涼しさは下品(げぼん)下生(げしょう)の仏かな五月三日 家庭俳句会...
高浜虚子 「五百五十句」
...その天幕の下を涼しさうな顔をして歩いたらう...
太宰治 「津軽」
...一 涼しさと暑さこの夏は毎日のように実験室で油の蒸餾(じょうりゅう)の番人をして暮らした...
寺田寅彦 「さまよえるユダヤ人の手記より」
...あれは正当なる涼しさとは少しちがう...
寺田寅彦 「さまよえるユダヤ人の手記より」
...暑中に灸(きゅう)をすえる感覚には涼しさに似たものがある...
寺田寅彦 「備忘録」
...われわれ日本人のいわゆる「涼しさ」はどうも日本の特産物ではないかという気がする...
寺田寅彦 「涼味数題」
...どうも一般に涼しさが欠乏しているのではないかと思う...
寺田寅彦 「涼味数題」
...一脈の魂の涼しさを味わっているかしれない...
中井正一 「蓄音器の針」
...松林の中は日蔭になつて吹き通ふ風の涼しさ...
永井荷風 「買出し」
...三諸山(みもろやま)から吹いて来る朝風の涼しさに...
中里介山 「大菩薩峠」
......
長塚節 「長塚節歌集 上」
...中を通つたら涼しさうに思へる深い森林をよそ目に見ながら...
野上豐一郎 「湖水めぐり」
...肩の透いた袷、よれよれの帯、油気のない髪――それは見る影もない姿ですが、眼の涼しさにも、頬の豊かさにも、十八の青春は美しく燃えて、貧苦も艱難も虐げ尽せぬものがこの娘にあります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...暑気払いに焼酎(しょうちゅう)を飲む人がありますが焼酎は強い刺撃性であるからかえって暑さを増しそうなものですけれども適度に飲めばその刺撃で皮膚の血液を内部へ呼び戻すので人が涼しさを感じます...
村井弦斎 「食道楽」
...きゅうに涼しさと寒さとが一(いち)どきに体温にかんじられた...
室生犀星 「蛾」
...「涼しさに居眠ったか」信長も苦笑する...
吉川英治 「新書太閤記」
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