...暑いと同時に涼しいということあるいはむしろ暑い感じを伴うことなしに涼しさは感じ得られないということが一般的な事実であるのに...
寺田寅彦 「さまよえるユダヤ人の手記より」
...少なくも日本の俳句や歌に現われた「涼しさ」はやはり日本の特産物で...
寺田寅彦 「涼味数題」
...しかし「涼しさは暑さとつめたさとが適当なる時間的空間的週期をもって交代する時に生ずる感覚である」という自己流の定義が正しいと仮定すると...
寺田寅彦 「涼味数題」
...涼しさを声にした様な蜩(ひぐらし)に朝涼(あさすず)夕涼(ゆうすず)を宣(の)らして...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
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内藤鳴雪 「鳴雪句集」
...そのまへの蓮瓶にはすぎた夕だちの涼しさを玉にしてる幾枚の葉とほの白くつぼんだ花がみえる...
中勘助 「銀の匙」
...をりしも月の冴えたる夜なりければ涼しさ肌にしみ透るやうに覺えて心地いふべくもあらざりき...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...ふと涼しさという感じは冷たさとか寒さとかいう感覚とは別のもので...
中谷宇吉郎 「清々しさの研究の話」
...鑿を執(と)る手を休めて眺めると、眼元の涼しさ、鼻筋の素直さ、その頃流行(はや)った、少し受け唇のあどけなさ、それにも優(ま)して、頬の肉付きの可愛らしさと、首から四肢へかけての、凝脂(ぎょうし)の美しさは、まことに比類もありませんが、それがどうしたことか、美し過ぎ、端正に過ぎて、なんか知ら一脈の物足らなさがあるのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...九月二日(日曜)もう之がほんとの涼しさか知ら? レンコート着て出る...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...涼しさを味はひつゝ菊田と森永へ行き食事...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...其度に秋の涼しさは膚に浸み込む様に思ふて何ともいへぬよい心持であつた...
正岡子規 「九月十四日の朝」
...広沢や一輪見ゆる燕子花(かきつばた)蒼涼しさや牛も根笹に繋(つな)がれて 同若竹の葉につく月の光かな 同五月雨や忘れて居りし淡路嶋 同持って来る者が京は尋常です...
正岡子規 「俳句上の京と江戸」
...涼しさを贈ってくれる...
柳宗悦 「台湾の民藝について」
...かの単調の緑の涼しさだけに...
柳田国男 「雪国の春」
...日本の夏の朝らしいこのひと時の涼しさは...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...その涼しさに、新九郎も冷静になった...
吉川英治 「剣難女難」
...(何という涼しさでしょう)しみじみと...
吉川英治 「親鸞」
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