...多勢その周囲に集まって泣涕(きゅうてい)した後に死骸を運び去って他の者の知らぬところに隠してしまう...
丘浅次郎 「人道の正体」
...七人相共に涕泣せしが...
高木敏雄 「比較神話学」
...願ひ成る迄涕涙の目もて見上ぐる如くなる―― 10パトロクロスよ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...我が家に汝の父も招かれず」斯くて涕涙潛として寡婦なる母に歸り來ん...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...もしそれ死に抵(いた)りて流涕(りゅうてい)し...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...うつくしい魂は涕いて...
中原中也 「山羊の歌」
...ただ日記の欄外に「主の涕を賜へ」と一言洩されただけである...
中谷宇吉郎 「『団栗』のことなど」
...針の席(むしろ)にのる樣にて奧さま扱かひ情なくじつと涕を呑込んで...
樋口一葉 「十三夜」
...庭なる美登利はさしのぞいて、ゑゝ不器用な彼んな手つきして何うなる物ぞ、紙縷は婆々縷(ばゝより)、藁しべなんぞ前壺に抱かせたとて長もちのする事では無い、夫れ/\羽織の裾が地について泥に成るは御存じ無いか、あれ傘が轉がる、あれを疊んで立てかけて置けば好いにと一々鈍(もど)かしう齒がゆくは思へども、此處に裂れが御座んす、此裂(これ)でおすげなされと呼かくる事もせず、これも立盡して降雨袖に侘しきを、厭ひもあへず小隱れて覗ひしが、さりとも知らぬ母の親はるかに聲を懸けて、火のしの火が熾(おこ)りましたぞえ、此美登利さんは何を遊んで居る、雨の降るに表へ出ての惡戲は成りませぬ、又此間のやうに風引かうぞと呼立てられるに、はい今行ますと大きく言ひて、其聲信如に聞えしを恥かしく、胸はわくわくと上氣して、何うでも明けられぬ門の際(きは)にさりとも見過しがたき難義をさま/″\の思案盡して、格子の間より手に持つ裂れを物いはず投げ出せば、見ぬやうに見て知らず顏を信如のつくるに、ゑゝ例(いつも)の通りの心根と遣る瀬なき思ひを眼に集めて、少し涕の恨み顏、何を憎んで其やうに無情(つれなき)そぶりは見せらるゝ、言ひたい事は此方にあるを、餘りな人とこみ上るほど思ひに迫れど、母親の呼聲しば/\なるを侘しく、詮方なさに一ト足二タ足ゑゝ何ぞいの未練くさい、思はく恥かしと身をかへして、かた/\と飛石を傳ひゆくに、信如は今ぞ淋しう見かへれば紅入り友仙の雨にぬれて紅葉の形(かた)のうるはしきが我が足ちかく散ぼひたる、そゞろに床しき思ひは有れども、手に取あぐる事をもせず空しう眺めて憂き思ひあり...
樋口一葉 「たけくらべ」
...泣(な)くにも人目(ひとめ)を恥(はぢ)れば二階(かい)座敷(ざしき)の床(とこ)の間(ま)に身(み)を投(なげ)ふして忍(しの)び音(ね)の憂(う)き涕(なみだ)...
樋口一葉 「にごりえ」
...泣くにも人目を恥れば二階座敷の床の間に身を投(なげ)ふして忍び音(ね)の憂き涕...
樋口一葉 「にごりえ」
...救助船は近づき得るだろうか――良人を失った妻や父母と別れた子供が時どき思い出したように涕り泣く他...
牧逸馬 「運命のSOS」
...昔一女子があって人を懐(おも)うてその人至らず涕涙(ているい)下って地に洒(そそ)ぎ...
牧野富太郎 「植物知識」
...水ッ涕(ぱな)をすすりながら...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...流涕(りゅうてい)を拭って...
吉川英治 「上杉謙信」
...流涕(りゅうてい)しながら...
吉川英治 「三国志」
...涕涙(ているい)して暫く...
吉川英治 「山浦清麿」
...その男はドーブレクに対して流涕(りゅうてい)して哀訴し合掌して嘆願し...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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