...まだ余憤(よふん)の消えないように若い下役(したやく)へ話しかけた...
芥川龍之介 「馬の脚」
...悲しみは消えないばかりか...
芥川龍之介 「神神の微笑」
...いやな心地は容易に消えない...
伊藤左千夫 「廃める」
...消えないようでございます...
太宰治 「斜陽」
...その当時の印象がいつまでも消えないで残っていた...
寺田寅彦 「三斜晶系」
...眼底で螢火のようにほのめいて消えない...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...しかし、蹄の音がまだ消えるか、消えないうちに、たちまち屈託のない、野放図(のほうず)な百姓たちの笑い声が、賑(にぎや)かに雲のように湧(わ)きあがる...
中村地平 「南方郵信」
...昔より恋にたとへし虹なれど消ゆることいと遅き山かな夏の朝の山上の虹のいつまでも消えない消息を逆に喩への方から引出さうとするので...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...鉱山の祟(たた)りは消えない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...こういう全身的な衝撃の余韻とがおなじテムポで消えないで...
宮本百合子 「寒の梅」
...その言葉は耳の中から消えないのよ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...自分に逢っても恨めしく思った記憶のまだ消えない源氏は冷静にも別れうるであろうが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...消えない証拠があるんじゃないんでしょうか...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...沖縄の名は消えないでありましょう...
柳宗悦 「沖縄の思い出」
...殊にあんな異常なばあいの記憶はながく消えないものだ...
山本周五郎 「柳橋物語」
...矢代にも同様の空想が暫くは消えない充実した一刻に変って来ていた...
横光利一 「旅愁」
...瞼(まぶた)から消えないらしい...
吉川英治 「宮本武蔵」
...消えそうで消えないガスの燈(ひ)をじっと見つめていようと思う...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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