...夫人の肩から総身へ浸渡るようであった...
泉鏡花 「婦系図」
...栃木県下では諸支流が水嵩たかく逆流して付近一帯の耕地を浸した...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...燃残(もえのこ)りたる炬(たいまつ)一ツをたよりに人も馬も首(くび)たけ水に浸(ひた)り...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...じいゝといふ煙りのやうな声が立ち浸みてゐる...
鈴木三重吉 「桑の実」
...之によって浸透された思考一般は...
戸坂潤 「認識論とは何か」
...民衆の酒樽(さかだる)に浸るのがうれしく...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...砂に浸みれば動搖しても安全だ...
長岡半太郎 「ノーベル小傳とノーベル賞」
...青糸解きて打ち浸せば...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...ボンヤリと南島的氣分に浸つてゐると間もなく...
濱田耕作 「沖繩の旅」
...いい音色で木の葉の舞い落ちてゆくような爽やかさが啓吉の肌に浸みて来るのであったが...
林芙美子 「泣虫小僧」
...いつごろのことなんだ」「終戦の年の四月八日」「なるほど……浸礼を受けたのは...
久生十蘭 「春雪」
...なかば眠りに浸つてゐた眼をいたづらにその文字面にさまよわせてゐたところの「五月に」といふ詩をひよつくり讀みあてたので...
堀辰雄 「旅の繪」
...○ロースを焼く時よく塩を浸み込ませるよう折々蓋を取り...
村井弦斎 「食道楽」
...蕨の乾したものを水に浸けたのをさういふ...
柳田國男 「食料名彙」
...由良は湯に浸りながら...
横光利一 「馬車」
...わたしの書斎を浸してゐる...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...江の水が自由に浸(ひた)すようになっている...
吉川英治 「新・水滸伝」
...湖に浸った麓の方に...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索