...外界の刺激に応じて過敏なまでに満干(みちひ)のできる葉子の感情は今まで浸っていた痛烈な動乱から一皮(ひとかわ)一皮平調に還(かえ)って...
有島武郎 「或る女」
...そうして山野家の空気に浸(ひた)っている間に...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...しっとりと手のひらに浸み入るようだった...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...道路は深くして腰を浸すべし...
関寛 「関牧塲創業記事」
...折角植ゑた稻が全く水の中に浸つてしまつたところなども到るところにあるといふことであつた...
田山花袋 「道綱の母」
...その頃の長崎にはロシアの東洋艦隊の勢力が港町の隅々まで浸潤していた...
寺田寅彦 「二つの正月」
...院長の祖母さんところへ入り浸っている義兄(あに)さんなぞも危いわけじゃないか...
徳田秋声 「足迹」
...宿(しゅく)の方へ入り浸って...
徳田秋声 「足迹」
...この普及浸透の度が加わるのである...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...その「私」が全篇の中に浸透していて...
豊島与志雄 「「紋章」の「私」」
...マリユスはコゼットに会って以来一種の音楽のうちに浸ったような心地になって...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...静かに浸っていた代助は...
夏目漱石 「それから」
...ゲランは溜り水に手を浸して茫然としている妻の姿を眺めていたが...
久生十蘭 「海難記」
...浸水がひどくなって沈没したもの...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...「何時まで湯に浸つてゐるんだい...
牧野信一 「明るく・暗く」
...ナズナを食するには(ゆ)でて浸しものにしてもよく...
牧野富太郎 「植物記」
...会社であんな浸水のひでえトンネルを掘らせたためにボタを喰つて死んだとありや...
三好十郎 「地熱」
...上下とも遊山(ゆさん)の喜びに浸っている時に...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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