...朱塗(しゅぬ)りの不動堂がほんのりその木立の上に浮きだしている...
伊藤左千夫 「紅黄録」
...三人の身体は一度沈んだが、再び浮き上って、流されはじめた...
海野十三 「恐竜島」
...人は疲れて頼り無く歩いて行けば薄闇の深いところから浮き出して乳房のやうにふくらんだ凸凹の面白くついた地面が星の中から見たやうに僅か許りはつきりと子供を顏のとこまで抱き上げてそのニコ/\した白い顏に見入るやうに...
千家元麿 「自分は見た」
...浮きぬ沈みぬゆられけるを...
太宰治 「右大臣実朝」
...」私は自分が浮き浮きとたくさんの花の名をかぞえあげたことに腹を立てていた...
太宰治 「めくら草紙」
...罪のない好奇と驚異の眼をこの浮き島の上の残忍な屠殺者(とさつしゃ)の群れに向けているのである...
寺田寅彦 「空想日録」
...綺麗に切れて浮き出した顎(あご)や...
ドイル Arthur Conan Doyle 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...外から差し込む一条の光が影絵のようにその姿を浮き出さした...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...滝倉の方は古い花崗岩の山骨が浮き出して...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...神話の妖精のように浮き上らせました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...ふらふら二着の潜水着が浮き出した...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...ただもう浮き浮きしているが...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...あれは「浮き沈み...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...物に触れぬやうに空中にフハリと浮きたいと思ふ...
正岡子規 「墨汁一滴」
...鳴る肩瘤額に浮き上り輝く汗汗...
松本淳三 「労働祭歌(※[#ローマ数字1、1-13-21])」
...「そうじゃありませんの――いかが?」女の口が白い顔から浮き出し宙で紅く開いたまま...
「赤い貨車」
...今になって清浄がっても昔の浮き名をあの人が取り返すことはできないのだと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...母の顔がすっと浮きあがり...
山本周五郎 「寒橋」
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