...千二の体は袋にはいったまま宙に浮いた...
海野十三 「火星兵団」
...殿もそのやうなことはしてはならぬと仰せられたし……』窕子はその身に引くらべて男の浮いた心といふことを深く考へずにはゐられないのだつた...
田山花袋 「道綱の母」
...赤(あかさび)の浮いた水には妙に無気味な感覚があって...
寺田寅彦 「雨の上高地」
...彼の疲れた瞳には軽い微笑みの色が浮いた...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...湯のなかに浮いたまま...
夏目漱石 「草枕」
...「面白いとか面白くないとか云う浮いた話じゃない...
夏目漱石 「行人」
...ふと浮いた考(かんが)えが二つあった...
新渡戸稲造 「自警録」
...浮いた話も聴きません」「言い寄る男がないわけでもあるまい」「それはもう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...艶名江東(かうとう)に隱れもなくいろ/\浮いた取沙汰もあり...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...……首を斬られて八間堀へ浮いたのはほんとうのお米だったということはこれでわかったが...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...まつすぐに浮いたが...
牧野信一 「城ヶ島の春」
...しかるに候補生は――もしハリイ男爵の文句を譬喩的な意味で使っていいなら――泳いだりふらふら浮いたりしている...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...この人がなんらの浮いたこともせず...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...サッサ浮いた浮いた...
山本笑月 「明治世相百話」
...自然と浮いた談を選ぶ風にした...
横光利一 「旅愁」
...その兩面の中に浮いた自分に最も似つかはしい調和のポイントをとつて...
吉川英治 「折々の記」
...がくがくと浮いた...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...険の浮いた葉子の顔は...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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