...浪路を踏むことになった...
...あの役者は、浪路を渡りながら地方巡業をしている...
...浪路の旅もその時代の醍醐味だった...
...今は、もう浪路に出るのも難しい時代になった...
...「浪路」は四字熟語ではありません...
...隱れ住む菅野の里は松多し來て君もきけ風のしらべを朝夕に松風ばかり吹く里は人のたよりも絶えて久しき夜ふけても調はやまぬ松の聲都のたより時にきかせよみだれ行く世のゆくすゑは松風の騷ぐ音にもおもひ知られて松風のさわぎも止まぬ或宵は浪路さすらふ夢も見るかな四月廿三日...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...横山が、その目を捉えて、「な、浪路どの、あでやかなものでござりますな」「ほんに、わたくしも、ゾーッと背すじが冷たくなりました」浪路は、美しい口唇(くちびる)を、いくらか引き曲げるようにして告白した...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...あまりに勿体(もったい)のうて――」「まあ! 何ということを!」浪路は...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「やんごとないお方さまの、お身ちかく、この世でならびない、御栄華にお生きなされているあなたさまのお側で、たとえ、たったしばしの間でも、こうして御贔屓をおうけいたせるなぞとは、上方をはなれますとき、思いも及ばぬことでござりました」「何をいやるぞ――そなたは?」と、浪路は、恨(うら)みをふくめた目で見返して、「わたしが、上さまのお側にはべる身ゆえ、それが仕合せでもあるように、そなたは思うていやるそうな――」「それが、仕合せでのうて何が仕合せでござりましょう? この日ッ本国中の、女性という女性、それをうらやまぬものが、あろうはずがござりませぬ」雪之丞はべったりと、居くずれるようにして、横がおを見せるのだった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...彼女は、膝を進めて、「それにつきまして、お願いがあるのでござりますが――」「何あに? 願いというのは――」「雪之丞も、いそがしい間を盗んで、折角お顔出しをいたしたいと申すのでござりますゆえ、お声がかりで、お病間まで、招き入れてやりましたら、どのようによろこぶかわかりますまいと存じますが――」それこそ、浪路にとって、わたりに船であった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...つまりはな、浪路ほどの女が、この世に二人と、なかなかないことを知って、あれを手放さない――その親兄に当るわしや、伜駿河守(するがのかみ)なればこそ、出来るだけ、愛してやろうとお思いになっている――が、若(も)し、あれが、御機嫌に背(そむ)くようなことになると、あの方は、手の裏を返したように、白い目をお剥(む)きになるに相違ない...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「はい、おふくろが申しますには、お屋敷の方は、あなた様が、お家出をあそばしてから、それはもう、言語道断(ごんごどうだん)の御難儀、お城からは、毎日のように、御使者で、行方(ゆくえ)をお責め問い――御隠居さまも、とんと、御当惑――一日のばしに、お申しわけをなされていたのでござりますが、娘の我儘(わがまま)をそのまま上意をないがしろに致すは不届至極(ふとどきしごく)と――これは、うけたまわったまま、失礼をかえりみず申し上げるのでございまするが、いやもうことごとく御立腹――御隠居さまの御不首尾は勿論、殿さま――駿河守さままで、御遠慮申さねばならぬおん仕儀――この分にては、折角の上さまお覚えも、あるいは、さんざんに相成るのではあるまいか――と、御一統、御心痛の御容子(ごようす)――出来ますことなら、あなたさまに、おかんがえ直しが願えたなら、八方、よろしかろう――と、おふくろも、泣いて申しますので――」「で、わたしにそれをいいに来てくれたといやるのか?」と、浪路が、鋭く遮(さえぎ)るようにいった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...これまでの浪路ではない...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...彼の、闇にきらめく、狂奮の瞳は、浪路に向けて、食い入るように注がれるのだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...そなたを、どういたそう? 何で、危害を加えましょう? ま、落ちつきなさい」「お、は、な、し――」浪路は、無宙(むちゅう)に、身をもがいた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...つかみしめた浪路とも知らず...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...まだ耳に残っている浪路...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...ひ、ひ、ひ、さあ、どうぞ、お娘御、おはいり――火も、熾(おこ)っている――お茶もある――こんなあばらやへ、ようこそ――ひ、ひ、ひ」浪路は、もだえ狂ったが、何分にも、さっき、あれ程の惑乱のあとで、身も萎(な)え萎えと、今は、抵抗の力もない...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...町家風俗をさせた浪路...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...浪路をかついで潜ろうとする...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...砕かれた花のような浪路の方をかえりみた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...浪路には、兄に当る、当主駿河守の許へも急使が飛ぶ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...浪路が大奥を出て失踪の身となっている間に...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
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