...いまは浪々の身の上だ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...どうして彼は今の浪々の少年の身でそれを得たか...
中里介山 「大菩薩峠」
...津田君が三十匁の出殻(でがら)を浪々(なみなみ)この安茶碗についでくれた時余は何となく厭(いや)な心持がして飲む気がしなくなった...
夏目漱石 「琴のそら音」
...京焼の安茶碗に番茶を浪々(なみなみ)と注(つ)いで...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...浪々の身ではそんな佛壇を裏長屋に置くわけにも行かないと仰しやつて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...浪々の身になつた伜を誘つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今は浪々の身で金ツけとは縁がない...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今は浪々の身であつても...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...五年ほど前浪々の身で亡くなりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お互いに浪々の身と...
長谷川伸 「討たせてやらぬ敵討」
...いわゆる長々の浪々...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...云はゞ奴の為に私はこのやうに浅間しい浪々の身分とは化したのである...
牧野信一 「酒盗人」
...しまいに持彦も官を免ぜられて浪々の身となってしまうであろう...
室生犀星 「花桐」
...「先生も御浪々中のことで...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...浪々の身によく節義をまもり...
吉川英治 「三国志」
...かつて、まだ光秀が、江湖を浪々して、病中の薬代にも、旅籠料(はたごりょう)にも窮していたとき、彼女がみどりの黒髪を切って金に換え、その急場を切りぬけて、良人(おっと)の素志(そし)を励ましたことなどは――彼女自身はおくびにも語ったことはないが、三ばんめの娘伽羅沙(がらしゃ)の良人(おっと)細川忠興(ただおき)の父――細川藤孝は酔うとよくこのはなしを持ち出して、光秀の苦笑を求めたものだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...浪々々(なみなみなみ)の中の巌家老上席から...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...その浪々中困窮はしたろうが...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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