...流石に客の前を憚つて...
石川啄木 「鳥影」
...』『妹様と? 然うですか! これは不思議だ!』と吉野も流石に驚いた...
石川啄木 「鳥影」
...娘共は流石に、中には入りかねて、三四人店先に腰掛けてゐたが、其家の総領娘のお八重といふのが、座敷から時々出て来て、源助さんの話を低声(こごゑ)に取次した...
石川啄木 「天鵞絨」
...警視庁は流石に自重して...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...そんな事を相談して流石に出獄の喜びを包み切れずにゐるところへ春三郎は歸つて來たのであつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...此処に来ては流石に国の方に心をひかれない訳には行かなかった...
田山花袋 「トコヨゴヨミ」
...」刑事も流石に気の毒そうな顔をして笑って言ったが...
田山花袋 「トコヨゴヨミ」
...一度はすでのこと刄をこの咽喉に當てようとした時に母者にとめられた――』『まア……』窕子も流石に驚かずにはゐられなかつた...
田山花袋 「道綱の母」
...お由羅のところへ奉公に上って、その短刀が――」と、いった時、南玉が「わしの、講釈よりも、筋立が上手だよ、のう庄吉」「誰も、俺を、巾着切だとおもって対手にしねえが、流石に、益満さんは、目が高えや、南玉...
直木三十五 「南国太平記」
...流石にこの葉書にはちょっと眼がまじまじとしたので...
中谷宇吉郎 「低温室だより」
...これを焚くのは流石に躊躇しましたが...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...流石に父の危篤という報を得た時は急いで国へ帰ったのでしたが...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...憎くしと思へど流石に義理は愁(つ)らき物かや...
樋口一葉 「大つごもり」
...流石に午前三時を過ぎて漸く遅いということに気づいたと見え...
細井和喜蔵 「女給」
...流石に伊藤痴遊は「痴遊随筆それからそれ」の「講談と落語」の中では...
正岡容 「初代桂春団治研究」
...何十年となく芸人は借金しろ/\と云つてゐた彼なのに流石にその朝許りはすつかりとガツカリしてゐて...
正岡容 「初代桂春団治研究」
...彼は幼き時より物讀むことをば流石に好みしかど...
森鴎外 「舞姫」
...そしてその壞れかけた古石垣の上に立つて望んだ淺間の大きな裾野の眺めは流石に私の胸をときめかせた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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